毛利孟夫に

槇村浩




これやこの毛利孟夫
山間の獄にペンを撫し
戦いに病める君が身を養わんと
函数を釣り
積分にゆあみし
ひねもす
土地と資本の
数字と
符号の
時空における
不統一の空隙を逍遥する
君のマルキシズムは
かゝる隙間を埋むるに足れりど
なお詩もて愛すべき膠着剤とせよ





底本:「槇村浩詩集」平和資料館・草の家、飛鳥出版室
   2003(平成15)年3月15日
※()内の編者によるルビは省略しました。
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年5月3日作成
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