(前半紛失)
このエピソードを思い出すたびに、わたしらはなぜか最近のあなたの詩を思い出さずにはいられない
昔のあなたの「拷問に耐える歌」が、あんなに愛誦されている
同志田木繁、こんな猫が、あなたの地区の工場の行きすがりに、ふっと道を横ぎりはせぬだろうか
自分自身に限界性をくぎるたびに、何かしらこんなものかと思い出してくるものだ
昔のあなたの「拷問に耐える歌」が、あんなに愛誦されている世の中に
あの記録的な「松ヶ鼻の渡し」の闘いを、なぜまた精悍に開始してはならぬだろうか
―一九三五・八・三―