お節供

槇村浩




五月五日はお節供だ
いろ/\並んだ人形の
中から飛出す金太郎
けものを集めて角力をやらす
そこへ大きな大虎が
ノッコリノッコリやって来ると
今までの元気はどこへやら
顔はまっ青ふるへ出す
そこへいろ/\ 並んでた
人形の中から加藤清正とび出した
やりをふるって大虎を
只一つきにつき殺す
みんなは初めて大安心
加藤清正の人形は
大へんいばって居ったら
鬼ガ島の鬼共が
「ワーッ」とばかり攻めよせる
加藤清正驚いて
もったやりをも投出して
ガタ/\/\とふるへ出す
そこへ飛び出す桃太郎
犬、猿、きじをともにつれ
むらがるをにをみな殺し
こゝで皆々ホッと吐いき
たちまち祝のお酒もり





底本:「槇村浩全集」平凡堂書店
   1984(昭和59)年1月20日発行
※著者が、高知市立第六小学校三年生、四年生のときの作品。謄写版刷りの、同校文集「蕾」から、底本に採録された。
※底本は新字旧仮名づかいです。なお促音の小書きは、底本通りです。
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年8月7日作成
青空文庫作成ファイル:
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