電灯と浦島

槇村浩




昔は電気がなかったから
昔の昔大昔生れて死んだ浦島に
電気を見せてやったなら
大へんびっくりするだろと
電気を見せたら「オーヤオヤ」
「此の電気はエライ暗いなあ」
  ハテナハテナ
昔の昔大昔生れて死んだ浦島が
電気を知ったわけがない
  ハテナ ハテナとよーくよく
考へたが分らない
仕方がないから浦島に
わけを聞いたら浦島は
「わしは今から何億年の
 昔に龍宮へ行った時
 百億色の電灯を
 いくつもいくつも見たから
 こんなボロボロ電灯は
 わしは何とも思はない
きいてビックリオーヤ/\
きいてビックリオーヤ/\





底本:「槇村浩全集」平凡堂書店
   1984(昭和59)年1月20日発行
※著者が、高知市立第六小学校三年生、四年生のときの作品。謄写版刷りの、同校文集「蕾」から、底本に採録された。
※底本は新字旧仮名づかいです。なお促音の小書きは、底本通りです。
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年9月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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