熱河略図 No.2

李箱




1931年の風雲を寂しく語つてゐるタンクが早晨アサの大霧に赭く錆びついてゐる。
客桟の※(「火+亢」、第4水準2-79-62)の中。(実験用アルコホルランプが灯の代りをしてゐる)
ベルが鳴る。
小孩が二十年前に死んだ温泉の再噴出を知らせる。





底本:「李箱作品集成」作品社
   2006(平成18)年9月15日第1刷発行
底本の親本:「朝鮮と建築 第十一集第七号」朝鮮建築会
   1932(昭和7)年7月
初出:「朝鮮と建築 第十一集第七号」朝鮮建築会
   1932(昭和7)年7月
※底本は横組みです。
※表題は底本では、「熱河略図 No.2(未定稿)」となっています。
※底本の編者による語注は省略しました。
入力:坂本真一
校正:春日井ひとし
2017年12月26日作成
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