真昼

――或る ESQUISSE ――

李箱




      ○
ELEVATER FOR AMERICA.
      ○
三羽の鶏は蛇紋石の階段である。ルンペンと毛布。
      ○
ビルデイングの吐き出す新聞配達夫の群。都市計画の暗示。
      ○
二度目の正午サイレン。
      ○
シヤボンの泡沫に洗はれてゐる鶏。蟻の巣に集つてコンクリヒトを食べてゐる。
      ○
男を※※ハコ[#「車+般」、318-8][#「てへん+那」、U+632A、318-8]石頭イシ
男は石頭を屠獣人を嫌ふ様に嫌ふ。
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三毛猫の様な格好で太陽群の隙間を歩く詩人。
コケコツコホ。
 途端 磁器の様な太陽がマタ一つ昇つた。
      ○





底本:「李箱作品集成」作品社
   2006(平成18)年9月15日第1刷発行
底本の親本:「朝鮮と建築 第十一集第七号」朝鮮建築会
   1932(昭和7)年7月
初出:「朝鮮と建築 第十一集第七号」朝鮮建築会
   1932(昭和7)年7月
※底本は横組みです。
入力:坂本真一
校正:春日井ひとし
2017年12月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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●表記について

「車+般」    318-8
「てへん+那」、U+632A    318-8


●図書カード