囚人の作つた箱庭

李箱




 露を知らないダーリヤと海を知らない金魚とが飾られている。囚人の作つた箱庭だ。雲は何うして室内に迄這入つて来ないのか。露は窓硝子に触れて早や泣く許り。
 季節の順序も終る。算盤の高低は旅費と一致しない。罪を捨て様。罪を棄て様。





底本:「李箱詩集」花神社
   2004(平成16)年4月1日初版1刷
底本の親本:「李箱詩全作集」甲寅出版社
   1978(昭和53)年5月5日発行
※本文末の蘭明氏による注は省略しました。
入力:坂本真一
校正:hitsuji
2021年3月27日作成
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