隻脚

李箱




松葉杖の長さも歳と共に長くなつていつた。
新らしい儘溜まる片方の靴の数で悲しく歩いた距離が測られた。
何時も自分は地上の樹木の次のものであると思つた。





底本:「李箱詩集」花神社
   2004(平成16)年4月1日初版1刷
底本の親本:「李箱全集 第二巻 詩集」泰成社
   1956(昭和31)年
※本文末の蘭明氏による注は省略しました。
入力:坂本真一
校正:hitsuji
2021年8月28日作成
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