この日

末吉安持




君うつくしくさちありと、
おもへばたまはくづるゝに、
なまじい罪は負ひつゝも、
君は死にきとを閉ぢて、
痩せたる胸を撫づるなり。

もとより心いつはらぬ
ふたりが恋のくちつけは、
のりの父上母うへの
御国みくににゆりぬ、君はいま
むくろぞひとにゆだねけめ。

されども君は人妻ひとづまと、
とゝのひきよき妻がさね、
われ咽喉のどぶえは裂きもすれ、
ぎる鉛は啣むとも、
えやは呼ぶべきわがつまと。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年12月24日作成
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