ガンジよ
松本淳三
捕らわれた、君よ
ガンジよ
苦しい心で、一途な心で
祈る私の――見知らぬ私の
心を素直に受けてくれるか
私はいま
空を抱きしめて祈っているのだ
地に跪いて祈っているのだ
魂からなる、涙でもって祈っているのだ
生きんとするもの
飛ばんとするもの
そうした者の道はいつでも
暗い牢獄へつづいているとは
知りながら
おお、捕らわれた君よ
ガンジよ
私は苦しい一途な心で
今宵
(
こよい
)
君の「生命」をしみじみ
祈らないでは居られないのだ。
(『熱風』一九二二年五月号に発表)
底本:「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」新日本出版社
1987(昭和62)年5月25日初版
底本の親本:「熱風」
1922(大正11)年5月号
初出:「熱風」
1922(大正11)年5月号
※編者による本文末の注記は省略しました。
入力:坂本真一
校正:雪森
2015年9月1日作成
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