ノスケ万歳!
プロレタリアは武装を解かれた
――ゲオルグ・グロッス――
プロレタリアは武装を解かれた
――ゲオルグ・グロッス――
むくれあがった傷口から白い蛆虫は這い出した
蠅は飛び出した小腸を喰べている
風が吹く
転がっている銃殺死体!
ほんとうに射撃された心臓は歪んでいた
兵隊の靴の音は飢えた群衆の中から
ピストル!
奴らの銃剣は!
切断された太陽の注ぐ光の下にひかり
おれらの脳髄を 心臓を指さしている
掘立小屋から瘠せ細った手
充血した瞳は考えている
バラバラになったかれらの死骸!
風が吹く
蠅が飛ぶ
生ぐさい草いきれ
――奴らは爆弾を持っていたんだ
――ゆうべ 小銃の音が!
――どこに爆弾が!
――ビラがはってある
歩哨の肩はひろく 勝ちほこっている
だれが殺されたんだ
奴らさ!
*******
放心した群衆の足は不安にうろついている
何処へ行こう!
風が吹く
蠅が飛ぶ
転がっている銃殺死体!
粉微塵の頭蓋骨!
死体になってかれらの瞳は一点をみつめている
飛び散っている手!
おれは知っている
太陽は切断された
(『無産詩人』一九二四年七月創刊号に発表 『陀田勘助詩集』を底本)