腹は凹んで皮ばかりのようだ
口はほせからツバも出ない
目はかすんでものが見えぬ
三分作なのに地主はおしかけて来た
来年の年貢をよこせと
そして 手をあわせて拝むわたしらを尻目にかけ
一粒のこらず かっさらって行った
毎日毎晩
わたしらは夢中で外へ這い出た
キョロキョロになって吹雪の中をかけまわった
木の根をむしった
草の芽をかんだ
見つけ次第
犬猫を殺し奪い合って食った
腹がキリキリした
ゲイゲイ吐いた
いまは 一匹の犬猫も見えぬ
一つの木ノ芽もない
娘らは小娘のからだで女郎に売られて行った
その金は借金取がおさえた
息子らは満州へ×いやられた
たくさんの息子らと一しょに箱づめにされ
そして停車場へかけつけたわたしらを
ホームへも入れなかった
さし出す息子らのかおを押しこめ
汽車の窓を閉じた
わたしらは地面に頭をおしつけて泣きくずれた
じたばた踏んだ
おお もはや
村中には
息子も娘も犬猫も木ノ芽もない
そして
腹がひっついてしまい目が見えぬ
だが
このままでいると思うか
なるほどヒョウも降った
雨も降り過ぎた
けれども自作農は七分作だぞ
わたしは肥料が買えなかったのだ
去年もおととしも
このままでは
来年もさらいねんもズッとキキンだぞ
おお わたしらの胸は煮えかえる
わたしらを飢えにさらし
戦争を企て………
そいつらはなにか!
満
わたしらはスッパ抜いたぞ
わたしらは起ち上がる
起ち上がり
奴らを×しかえす
しぼりかえす
わたしらは 心をあわせ
打って一丸となり
奴らめがけて
やり抜いて見せるぞ
ひもじい腹
かすむ目
こごえる寒さ
その中で
わたしの