「野菊の如き君なりき」を見て

中野鈴子




湧く水のように
自然の素直さ
自然の親しさ
親しさの深まった
少女と少年の
永遠をねがう二人の
愛 親しみ
子供から大人へ
成長してゆく
ありのままの
素直なねがい

りんどうと野ぎくと
花にたとえて

りんどうの花しか知らぬ
触れもせぬ
野菊の花の
りんどうの花しか知らぬ
子供をみもごり

死んだ方がいいのです
死んだ手に
りんどうの花と手紙とにぎられていた





底本:「中野鈴子全詩集」フェニックス出版
   1980(昭和55)年4月30日初版発行
底本の親本:「中野鈴子全著作集 第一巻」ゆきのした文学会
   1964(昭和39)年7月10日発行
初出:「看護技術」
   1956(昭和31)年2月号
入力:津村田悟
校正:かな とよみ
2023年8月8日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。




●表記について


●図書カード