心臓
中野鈴子
心臓の上に重い石が載っている
心臓は重い石の下でメートルグラスをつかまされている
メートルグラスの中には何も入っていない
そしてメートルグラスに革のムチが下がっている
革のムチに鮮やかに濃い字が記されている
正しく適切にと
心臓は破れて血を出しながらふるえている
底本:「中野鈴子全詩集」フェニックス出版
1980(昭和55)年4月30日初版発行
底本の親本:「中野鈴子全著作集 第一巻」ゆきのした文学会
1964(昭和39)年7月10日発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
※表題は、作品の冒頭をとって、底本編集時に与えられたものです。
入力:津村田悟
校正:かな とよみ
2024年9月15日作成
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