習作

森川義信




テラアスにちかい海の日は
アメシストの鏡から水もながれる
だから 頬をみがけぼくのアリサ
葉ざくらのかげでお前は青い花だ

ハアプがながれてゐる月夜
葡萄の木蔭はフオルマリンの匂ひがいつぱい
歌のやうにぬれたこころを
こほろぎがくすぐりはじめる





底本:「増補 森川義信詩集」国文社
   1991(平成3)年1月10日初版発行
初出:「ルバル 16集」
   1938(昭和13)年8月
※初出時の署名は「山川章」です。
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年4月26日作成
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