帰村
森川義信
寒々と背姿の林は続き
連峯は雪
よれよれの路はまた坂になり
鴉はあをあをと山蔭に群がり
ああ 少年の日の悲歌が甦へる
ゆふぐれよりも早く
ぱらぱら何時かのように村は花を灯し
村はまた何かを悲しむであらう
こんなにも林の多い路だつたかと
少年の日のふるさとに――
傷心のわたしであつた
底本:「増補 森川義信詩集」国文社
1991(平成3)年1月10日初版発行
入力:坂本真一
校正:フクポー
2019年5月28日作成
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