はめつ

渡久山水鳴




銅色あかがねの工夫等は
「くわつと」輝く夏の日を
背中にうけつ十数人
えいや声してほそ長な
轆轤ろくろにかけし石砕器
高くおとせば、水煙――
四方に雨ふり――魚死せり。

見よまたかなた住吉の
岩にひそます、恐ろしき、
ダイナマイトの導源に
えうの火つとふ荒男――
見る、見る、岩は砕かれて
自然の富もほろびゆく。

いざひとめぐりやすまんと
木蔭につどひ仰向きに
身を横たふる荒男ども。

滅びゆきたる数々に
代ふべき石にいたづらに
入江に高くうづかれて
人は夕にあこがれぬ。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
底本の親本:「沖縄毎日新聞」
   1909(明治42)年6月15日
初出:「沖縄毎日新聞」
   1909(明治42)年6月15日
※初出時の署名は「水鳴」です。
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年10月24日作成
青空文庫作成ファイル:
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