或る月夜に

上里春生




おほぞらは、
紫暗の海と澄み渡りて、
真珠の群は、きらきらと、
円けき海月 光り流るゝ。

芋の葉むらがりむらがり、
ぬかづける野辺に、
貧しき樹立は微にゆら/\
葉末のしたゝらすひかりの雫
静かに 甘き夢を つゞれる。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
底本の親本:「文章世界 第12巻第6号」
   1917(大正6)年6月1日発行
初出:「文章世界 第12巻第6号」
   1917(大正6)年6月1日発行
※初出時の署名は「上里無春」です。
入力:坂本真一
校正:hitsuji
2019年5月28日作成
青空文庫作成ファイル:
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