かの日の歌【四】

漢那浪笛




     ※(蛇の目、1-3-27)

ささへかねたる苦痛の重さ!
心と肉とは、時ふるへり。

年わかき悲哀かなしみとそのきほひは、
何日いつきゆべき! あわれ迷はしきかな。

人通りのしげき町へゆかむ、
南!旧暦十五夜の黄金こがねの涙を
たゝへし町へ!

そこにはあまきひとの声、
暗の中に紅きルビーの如くゆれる。
吾れはそこにゆかむ、かわほりの如く、
――そこに歓楽の響きを聞くべし!





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「琉球新報」
   1911(明治44)年12月10日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年12月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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