漢那浪笛




淋しき日悲しき思ひ
吾が心ろうし去んぬる。

あわれその心のすむは、
落寞の森のぬれか。

きゝなれし歌のしらべも、
今日けふも又、明日あすも消ゑゆく。

消ゑ去るを止むすべきなき、
この心、「総」むなしき。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「沖縄毎日新聞」
   1909(明治42)年4月23日
※初出の新聞で作品名として扱われている「心」を表題としました。
※表題は、底本では「待宵草」の見出しの次の行に、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2017年1月12日作成
青空文庫作成ファイル:
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