新らしき悲しみにうつる時
漢那浪笛
うら若かき日の悲しきあこかれ――
草葉の息吹きかへす甘き馨り、
艶はしき花の笑ひもながめて過ぎぬ。
木の間にさへずる鳥の歌をきく、
悲しみは眼を閉ぢて、暫時やすらひもせし。
されど、とく新らしき悲しみにうつりぬ。
何をもてこの闇を照らさむ。――
空を仰げば怖ろし…………
いざさらば、独り琉球節の一曲を、
口笛に、
うらやすき墓場のほとりにさ迷はむ。
そは音なき響きをきかむとや…………
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