つかれ

漢那浪笛




淋しき夜の音づれ、
つかれし眼にうつり
わなゝき震ふ心は、たゆむ隙なく、
あるかなきかの影にも似たれ。

青める星のそらより、
涙ににじむふしを、地になげかわす、
そはわれに、
耳そばだてゝ聞けとや…………

つかれし心に、何をかきかむ、
願ふは、眼の光をとざし。
淋しき夜の音づれ――
闇のかほりを、すはむと思ふ。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「沖縄毎日新聞」
   1911(明治44)年6月1日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
※初出の新聞で作品名として扱われている「つかれ」を表題としました。
※表題は、底本では「南の友へ【一】」の見出しのもと、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2017年3月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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