暮れ方の窓
漢那浪笛
常に夢見る女のすがた!
夕暮れ方、
しめやかな窓にしのんで来る。
なつかしい想ひは浪のやう…………。
みつむれば、朦ろにかすみ、
ちかよれば、闇のなかにとろけて、
果ては見えなくなる。
物 消えし後 悲しいことよ!
どこかにすゝり泣きが消えた。
夫れは、鬢のほつれにからんだ、
青い火のこのやうだ
つひ、私は二つ 眼を掩ひ、
闇の窓にうつ伏した。
●表記について
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