秋 なげかひ

漢那浪笛




せちになげける秋の木立に、
青める月の、病めるいぶき。
風のまに/\に、浮びては消ゆる。

哀れ『世』(不明)さま、夢かまぼろし、
水のおもての泡沫あわと知れど、
せい』はなほも光をすひぬ。

根もとに重なる、むなし朽葉!
ゑんなる夏 夢を埋め、
――地下にこゞゑしみやこ会もあるや!





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「沖縄毎日新聞」
   1911(明治44)年6月12日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
※初出の新聞で作品名として扱われている「秋 なげかひ」を表題としました。
※表題は、底本では「南の友へ【三】」の見出しの次の行に、5字下げて2行取りの横罫の下に記載されています。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年9月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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