最後の手紙

仲村渠




氷になつて
午后一時 A広場のまんなかで消えてしまう。

     ※(蛇の目、1-3-27)

贈つてもらつた独逸製の目醒し時計の中に隠れるから
燈台の尖へあがつていつて
海の方へ力いつぱい抛つてくれたまへ。

     ※(蛇の目、1-3-27)

太平洋のまんなかには、ちツちやくて綺麗な魚はゐないだらうか
かならず僕を喰べてほしい、豆になつて跳びこむから。

     ※(蛇の目、1-3-27)

せツちやん。
君は僕のいふことを聞いてはくれぬ故、僕は以上三ツのいづれかを実行します。では、達者でね。さよなら。





底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※(ローマ数字1、1-13-21)」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
底本の親本:「近代風景 第3巻9号」
   1928(昭和3)年
初出:「近代風景 第3巻9号」
   1928(昭和3)年
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年9月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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