「アラ、皆さんお揃い、よかったわねエ」
素晴らしい年増、
「イヨウ村岡夫人、相変らず大変な元気だね」
「まあ、宇佐美さん、断然久し振りねエ、何んという風の吹き廻しでしょう、近頃は
「御挨拶だね、もう少し愛嬌のある口上は無いものかね」
「二人が寄るともう口喧嘩だ、始末の悪い人達だね」
これは会社員島
「相性が悪いんだワ、ちょいと柳子さん、今大変な問題があるのよ、
「ヘエ、私の智慧、――智慧や金で済むことならって言い
「そう、そんな景気なの、それでは何かおごって下さるでしょうね」
キネマ女優、芳野
「ちょいと、これは
「何んだ、国民劇場の広告じゃないか、入場料一人金五十銭也だろう、そんなものをおごられる方が迷惑だ」
これは金持の坊ちゃん、中島助丸、
「村岡夫人のおごるのは、お断り申し上げた方がいいぜ、
これは若い技師の松井菊三郎、
「何んです婆さんとは、貴夫人に対して失礼じゃありませんか、第一、私は宇佐美さんのように禿げちゃ居ませんよ」
「ワアッハハハ、ハッハッハハ」
轟然として笑いが爆発します。
都銀行の地下室、クラブと食堂と
「冗談は冗談として、その智慧が入用だという話はどんな筋なの、小出しの智慧は持って居ないが、大口の智慧なら持って居るわ、随分用立てて上げてもいいのよ」
「村岡夫人の大口の智慧と来た日には
「誰れ? そんな隅っこから人をくさすのは?」
「我輩」
「何んだ、禿ちゃびんの宇佐美さんか、あんまり変な事を言うと、これからいくら拝んでも
「ワッ――、ハッハッハッ」
又も轟然たる笑い、
「いやはや、呆れた婆さんだ、此間も私の胸倉を捉まえて、いくらノラクラ文士でも、住所位は人に知らせて置くもんだ、そうでもなければ、毎日都銀行の地下室へ、一度ずつ顔を出しなさいッ――って言ったのは誰だっけ?」
「畜生畜生、あんな
「ワアッ、ハッハッハハ、これは良い」
「とても気に入っちゃった、ワッハハハ」
いや大変な騒ぎです。
「実はね村岡さん」
少し一座の落付くのを見計らって、女優の芳野絢子は口を切りました。
「近頃評判になっている、大谷
「エ、エ、あの多勢の部下を持って、大銀行を片っ端から襲撃する恐ろしい泥棒の?」
「その大谷千尋は、きっと捕まるに相違ないという意見と、いやどうしたって捕まらないという説と、二つに分れちゃったの。島さんはその捕まらないって方の代表者で、宇佐美さんは捕まるって方の代表なの。島さんに言わせると、……大谷千尋という兇賊は、どうしても百人以上の部下を持って、それを手足のように働かして居る、銀行を一つ襲撃するにも、二ヶ月、三ヶ月も準備をして、万全を期した上でなければ手を下さないらしい、とてもあれは捕えられない……って、
「面白いわね、芳野さんは一体
「あら、ずるいわ――私には何が何んだか判らないけれども、平気で人を殺したり、お金を取ったりする、泥棒の肩は持てないような気がするワ」
「そりゃ泥棒が悪いに極って居るが、善い悪いは別として、捕まるか捕まらないかって事になれば、私は島さんの方に賛成するわ、警視庁にも花房一郎なんて、名探偵とか何んとか言われる人もいるにはいるけれども、近頃はタガが緩んで、すっかり駄目になっちゃった様ね、島さん」
「花房一郎? あんな者はもう時世遅れだよ、岡っ引に背広を着せたような探偵に、最新式の知識を応用する、大谷千尋は捕まる筈は無い」
島幾太郎は我が意を得たりとばかり、美容術師の方を振り向いて
「あら、島さんはなかなか話せるわね、その点で握手しましょう」
「よかろう」
向い合って、両方から差し延べた手が、丁度食卓の真ん中でピタリと合います。
「花房一郎をとがめるのは無理だよ、つい此間まで病気で寝こんで居たって言うじゃないか、それに」
宇佐美六郎は、その
「弁解の余地はありません、大谷千尋は再三花房一郎へ挑戦状を出して居るというではありませんか、泥棒に挑戦状を突き付けられて、一指も下すことの出来ないような名探偵は、
島幾太郎は、その秀麗な顔を輝かして、猛烈に相手に言い捲ります。
「いやそれは無理だ、花房一郎にも準備というものがある」
「準備? それは一体何年かかるものです、もう昨年の夏から、銀行の襲撃されたのが三つ、命を失った人間は五人、それに、つい四五日前明かに大谷千尋に惨殺された、印刷屋の主人を加えると、丁度六人になります、これだけ犠牲者を出せば、花房一郎の準備にも不足は無いでしょう」
「相手は五十人とか百人とか言う話だ、一人や二人なら
「鯨のもぐるような網だろう、でなければ、目高をすくうような網か、いずれにしても大谷千尋という魚は永久にかかるわけは無い」
「いや、きっと大谷千尋という悪魚は、花房一郎の網にかかるよ――今かかりかけて居る所だ」
「そんな馬鹿な」
「何が馬鹿だ」
「何?」
二人の瞳はカッチり合いました、が、
「ハッハッハハハ」
宇佐美六郎は、思わず相好を崩して笑ってしまいました。
「捕まるというのが二人、宇佐美君と芳野君だけ、あと十一人は花房一郎に大谷千尋は捕まらないという説だ、ところで、何んかを賭けちゃ
中島助丸が口を出します。
「国民劇場の総見を賭けちゃどう? 入場料一つ金五十銭也、これなら安心でいいわ」
女優の芳野絢子、先刻食堂の入口で銘々が貰ったちらしを見て居りましたが、フトそれを裏返して、
「オヤオヤ
向う通るはスターじゃないか……
青い
――まあ嫌ね、これは昔
「ようよう、芳野君自分の事を歌われて居るようなものじゃないか」
「あら、随分ね、私青い
「ホイ、怒ったか」
「ワーッ、ハッハッハハハ」
轟然たる笑いが、
「芳野さん、
「あら。村岡さんも
「国民劇場のちらしの裏? 何んにも書いてはしないわ、緑の地模様の上に、赤い線が滅茶滅茶にうねらしてあるだけよ」
「どれ拝見、――あら、村岡さんのにだって、ちゃんと同じ文句が刷ってあるじゃないの、最初は――銀座銀座と通う奴ア馬鹿よ、帯の巾ほどある道を――って」
「どれどれ芳野さんのを拝見」
二人の美人は、銘々のちらしを換えて読みましたが、結果は全く同じ事でした。芳野絢子の眼には、明かに銀座節が読まれますが、村岡柳子の眼には、相変らず緑と赤の交錯した、唐草模様のような複雑な地模様しか見えなかったのです。
「不思議ねエ」
「全くだわ」
驚き呆れる二人の様子を見て、二三人の紳士達は、かくしの中へねじ込んだのを出して皺を延したり床の上に落したのを拾って、土を払ったり、銘々に覗いたりすかしたりしましたが、劇場のちらしの裏には、
もう一つ不思議な事は、この小事件が起ったにもかかわらず、島幾太郎や、中島助丸や松井菊三郎はその疑問のちらしに、眼をくれようともしなかった事です。
宇佐美六郎は、暫らくは黙ってそれを見て居りましたが、やがてニヤリニヤリと笑い乍ら、
「馬鹿だなア、そんなつまらない仕掛けがわからないかなア」
斯んな事を言います。
「
「私の頭の毛の事ばかり言うと、私もつい村岡夫人の顔の皺の事を言い度くなるよ」
「何んですって? 私の顔に皺があるんですって、これでもまだ二十七よ」
「ホイ、お腹立ちでは恐縮、皺で悪かったらヒダ、それでもいけなかったら皮膚の折目」
「まあ、何んという悪い口だろう、覚えて居るがいい」
「又噛み合って居るの、本当に仕様の無い人達ねエ、それより、このちらしの裏の歌が私にだけ読めるわけを教えて頂戴よ」
芳野絢子は、宇佐美六郎の前に、問題のちらしを裏返して突き付けます。
「私にだって読めるわけは無い、――島君達は、とうにこの仕掛に気が付いて居るらしいが、
「どんな仕掛なの」
「まア急ぐな、これだけの人間が居るのに、芳野絢子君以外には、誰にもこのちらしの裏の『銀座節』が読めないというのは、芳野君の眼が特別にいいと言うわけではなくて、芳野君の眼が外の人と違って居るからだと言うことになる――、芳野君の眼と我々の眼と
「芳野さんの眼と私共の眼、――芳野さんだけ青い
「そうだよ村岡夫人、頭の禿げて居る人間は賢いだろう。このちらしの裏には、青い唐草見たような地模様の上に、細い赤い字で銀座節の文句が刷ってあるのだよ。普通の眼、つまり普通の白い光線で見ると、
「まあ、宇佐美さんは見掛けより余っ程智慧者ねエ、どれどれ芳野さん、
美しい美容術師は、夢中になってちらしの裏を読み
「宇佐美さん、私はすっかり
「何をつまらない、赤と青が反色で、一方を濃く見せる色は、一方を消す位の事は、小学校の生徒も知ってるよ」
「おやおや、
芳野絢子は美しい眉をひそめて四方を見廻します。
「サア――」
宇佐美六郎の顔の
夜十一時、階上の都銀行では、宿直の小使が、最後の見廻りを始めた様子、重い戸を閉す音が、かすかに
一方は警視庁の刑事部長室、それから三十分後に起った事です。
「
「大体の見当だけは付きました、もう
「大谷千尋の正体を突き止めたのですね」
「見当は間違わない積りですが、単に私の見込みで、証拠というものが一つもありません」
「フーム」
一人は富田刑事部長、一人は、申すまでもなく宇佐美六郎に変装した、名探偵花房一郎です。禿茶瓶の精巧な
「私が大谷千尋の変装を見破ったと同じ様に、向うでも私の変装を見破って居るのです。今晩も現に、大谷千尋に相違ないと思う男と、花房一郎は大谷千尋を捕えることが出来るか出来ないかと言う事で大変な議論をしました」
「フーム、それは面白い」
「いや部長、あまり面白くはありません、花房一郎が警視庁に奉職してから、こんなに犯人に愚弄された事はありません、兎に角大谷千尋という人間は、世にも恐るべき兇賊です」
「それを何んとかして逮捕しなければならない、三ヶ月の間に銀行を三つも襲撃し、人間も六人もあやめて居る、――世間は
「部長、そう
「オ、電話じゃないか花房君」
花房一郎は受話器を取って耳に当てました。
「ハイハイ、私は花房、エエそうです、
花房一郎は、がちゃりと受話器を掛けて、暫らく考えこみました。
「花房君、今のは誰の電話だ」
「判りません、心当りは無いじゃありませんが、――いや、そんな筈は無い。――お聞きの通りの電話ですが、相手は若い女だという事以外には、何んにもわからないのです。騙されるまでも、兎に角行って見ましょう。オートバイで連絡を取らせますが、制服私服半々位に、警官を五十名ほどお願いいたします、それでは私は一人で瀬踏みをして参りましょう」
「大丈夫か」
「虎穴に入るより外に方法はありません」
屹として立った花房一郎の
「此辺でよかろう」
日本橋のとある横町に、自動車を停めた花房一郎、
往来の人も
「何時だろう」
わざと電灯を消した自動車の中から声をかけると、
「一時過ぎましたろうな」
運転手は気の無い声で返事をします。
「ハテナ」
花房一郎は思わず声を出して首を傾けました。
(
(待て待てあの劇場のちらしの裏にある青色と赤色の文字、
アッ、いけない、国民劇場は改築中で、先月から休場して居る筈ではないか、して見るとあのちらしは少くとも二三ヶ月前のものだ、――二三ヶ月前のちらしを
あのちらしを地下室の料理屋へ入る者全部へ手渡したのは何んの為だ。
(あのちらしが怪しい――)
花房一郎は
「あったあった」
さすがに捨てもせずに、そのままちらしは
「青い
このちらしの裏の文句を読む為には、それは是非必要ですが、そんなものは、自動車の中にも、夜更の町にもあるわけはありません、が、ハット気の付いたのは、日本橋の袂に立って居る電車の信号手です。
早速自動車を飛降りて、駆け付けた花房一郎、
「すみませんが、
「それは困ります、もう終電車が来る頃ですから」
信号手は迷惑そうにして居りますが、花房一郎は重ねて、
「いや、決して手間を取らせるわけでは無い」
忙しくくりひろげた先刻のちらし、信号灯の青い光りにその裏を照すと、青色の地模様は消えて、
……銀座銀座と通う奴馬鹿よ……
はっきり銀座節が読めるだけ、外に何んの変ったところもありません。
「ハテナ」
花房一郎は、暫らく其のちらしを信号灯に押し付けて、くり返しくり返し眺めて居りました。
「アッ、もう電車が来ました、
押し
(あッ、あれだあれだ、青い
斯う考えると花房一郎、信号手の取り上げた信号灯の赤の方の窓へ、あわただしくそのちらしの裏を持って行きます。
「アッ、
「電車が来ましたよ、
信号手はけんもホロロに信号灯を取り上げて、花房一郎から遠く、夜の街を猛獣のように駆けて来る電車に振ります。
「赤い光り、赤い光り」
見廻すと、向うの薬屋の軒に、真赤な電灯が大きい
花房一郎は横っ飛にその下へ、ちらしの裏へ深紅の光を浴せると、赤い模様も文字も消えてその代り、
「今夜一時十五分、日本橋の都銀行襲撃の予定、裏口は松井以下十五名、表口は大谷団長以下八名、金庫爆破の上本部引揚……」
これだけの文字が、ありあり画読まれるのです。青い光線を当てると、青色の文字が吸収されて、赤い文字の「銀座節」だけが現われ、赤い光線にさらせば、赤い「銀座節」は消えて、青色の唐草地模様の中に、恐ろしい兇賊団の打ち合せの文句がありありと現われたのでした。
「あっこれだこれだ」
花房一郎は
「都銀行の手前の露地で止めて、お前はすぐ本署へ電話をかけてくれ、大急ぎ」
自動車は砂塵を捲いて夜の街を飛びます。
丁度その頃、都銀行の金庫室の内部には、こんな事が起って居りました。
「サア、もうよかろう、皆
首領の声につれて、五六人の怪漢は、二三間
「女、もう助からぬぞ、余計な事をしなければ、お前などに構って居る我等ではない、なまじ大谷千尋の正体を知ったのが、お前の不運だ。その金庫はニトログリセリンで爆発させるばかりになって居る。口火を
荒縄で縛られた半裸体の女の肉は、冷たい金庫に凍て付いて寒天のように慄えました。が、女の顔には少しも屈従の色はありません。
「私を誰だと思う、知らないだろう。どうせ死ぬものなら、その前に言って聞かせる事がある、私はどうしてお前に付き纏ったか、どうして島幾太郎を大谷千尋と見破ったか、それを教えてやろう」
女の声は、冷たい夜気に籠って、物凄まじく響き渡りました。死をも怖れぬこの女は、そもそも何者であったでしょう、大谷千尋も覆面を取って、懐中電灯の光を、女の厚化粧の顔にさし向け
「お前は美容術師の村岡柳子じゃないか、それがどうしたというのだ」
「もう一つの名は?」
「そんな事を知るもんか」
「教えてやろう、私は、お前に大事な機密文書を盗まれた為めに、三年前に自殺した外交官の
怨に燃ゆる女の眼からは、
「お前を探すのは楽な仕事では無かった、けれども、神様は私にいい智慧をかして下すったよ、お前は何んの為か知らないが、時々赤い
女の怨みの言葉は、
「サア、もう引導を渡せ、この女はいよいよ生かしちゃ置けない」
「ハッ」
動き出した一人の男、黒い覆面のまま首領に挨拶して、金庫に仕掛けた爆薬に点火しようとします。
「お待ち」
「何んだ今更死ぬのが恐ろしいか」
「イヤイヤ、死ぬのを恐れはしない、このまま夫の側へ行かれれば私は本望、世間からはドブ泥のように汚れたものと思われた私の
「エッ、エッ」
「今頃はもうこの銀行は警官隊にすっかり包囲されて居るだろう」
「嘘を言え、こら
「ホ、ホ、ホ、嘘なら嘘でもいい、
死を決した岡柳秀子は、その
「馬鹿な事を言う女だ、遺言はそれだけか、手間取ると碌な事は無い、用意が出来たらやっつけよう、それッ」
と首領の合図の手が挙ると同時でした。
爆薬は口火を点ずる先に、金庫室の扉は三方からサッと開いて、光りの洪水の中に、
「大谷千尋御用ッ」
ハッと思う間もなく、
「何をッ」
轟然たる
その中程に、仕立てのいい背広をメチャメチャに引き千切って、
「オイ島君」
声だけは以前の宇佐美六郎のままの花房一郎、ズカズカと進んで、後ろ手に縛られた、大谷千尋の肩にその手を置き乍ら、
「このゲームは私が勝ったようだな」
「今のところではネ」
大谷千尋も
「花房一郎は確かに大谷千尋を捕まえたよ、国民劇場の総見位は奢ってもらえるだろうな」
「お易い事だ、が、大谷千尋も少し油断をしたよ、油断さえしなきゃア」
大谷千尋は思わず歯を喰いしばります。その無念の形相を後ろに、立ち去ろうとする花房一郎の
「待った花房」
「何んだ」
「もう少し話がある」
大谷千尋は声をかけます。
「今となって未練ではないか」
「いや、助けてくれいと言うのではない、この大谷千尋ほどの者がたくらんだ
「多分その婦人が教えてくれたのだろう」
「本当か」
「本当とも、
「そこまで気が付いたか」
「馬鹿にしてはいけない」
「それではもう言うことはない」
「もう切り札はないか――、大谷千尋、それでは言うが、お前は少し増長し過ぎたよ、悪漢には悪漢の義理があり、泥棒には泥棒の道があるものだが、お前はあまりに無慈悲で、あまりに冷酷だった。花房一郎を馬鹿にするのはいいが、天を嘲り、人間の道を
花房一郎の言葉は痛烈を極めました。暫らく黙って居た大谷千尋、この時
「有難う花房探偵、今その理屈が解ったところでもう遅い。ところで最後に一つ、俺にも善根を施さしてくれ、それはその金庫に縛られて居る女だ、多分花房探偵ほどの者も気が付かなかったろうが、自堕落な始末の悪い気違いとばかり思って居たその女が、世にも稀な貞女だということを、今晩はじめて俺は知ったのだ。この寒さに、
大谷千尋ほどの者も、悲痛な面をあげて、花房一郎の顔と、金庫の前の美女とを見比べるのでした。
「よく言った」
花房一郎は駆け寄って、半裸体の美女を抱き起し、
「ウム――」