オリンポス遠きギリシャの
いにしへの神々の火は
海を越え
はるばると渡り來て
今ここに燃えにぞ燃ゆる
青春の命のかぎり
この國の世界の祭
喜ばん富士も筑波も
はためきて五輪の旗や
へんぽんとひるがへる
日本の秋さはやかに
東海の我らが小島
み空より
この星のいたるところの
すぐれたる若人迎へ
國々の旗立てならべ
萬國は一つ心に
美を讚へ意氣を重んず
めでたさの祭なりけり
喜ばん富士も筑波も
はためきて五輪の旗や
へんぽんとひるがへる
日本の秋さはやかに
むつまじき若人の
獅子となり
爭ひは爭ひならず
もろともに勝つも勝たぬも
手を
めでたさの祭なりけり
喜ばん富士も筑波も
はためきて五輪の旗や
へんぽんとひるがへる
日本の秋さはやかに
日の光うま酒に似て
吹く風のきよらにあまく
健康はあたりを拂い
頽廢はかげりだに無し
みだれたる人間の世の
嚴肅と平和の
我ら見る力の秩序
めでたさの祭なるかな
喜ばん富士も筑波も
はためきて五輪の旗や
へんぽんとひるがへる
日本の秋さはやかに
(昭和三十九年十月)