うもれ木

田邊たつ子




一葉女史いちえふぢよしはおのれとおな園生そのふにありてはぎつゆにおほしたてられし下葉したはなりはぎ中島なかじまつねにいにしへぶりのしなたかきををしへさとしたまへれど性來せいらいのすきこゝろによのみゝちかくぞく今樣いまやう情態じやうたいをうつさばやのこゝろあつく去年こぞより武藏野むさしのはあれどにげみづのそこはかとなくかくろひてさのみしるひともなかりしを、今度こたび一部いちぶふみとしておづさにのぼせ、おほやけひやうをもこひて、なほ此後こののちもこれにつくさんのれうにせまほしとておのれにそのよしはしかきしてよとこはれぬかゝるかたこゝろふかうものしたまへるをつねにしたひむつべるともにしあればことにうれしくてなほつがののいやつぎ/\にたゆみなく千枝ちえ八千枝やちえにしげりて木高こたかきかげとなりたまはんことをかつはしゆくしてたゝ一言ひとこと
田邊たつ子識





底本:「都の花 第九十五號」金港堂
   1892(明治25)年11月20日
初出:「都の花 第九十五號」金港堂
   1892(明治25)年11月20日
※表題は底本では、「うもれ」となっています。
※副題は底本では、「じよ」となっています。
※変体仮名は、通常の仮名で入力しました。
入力:万波通彦
校正:Juki
2019年6月28日作成
青空文庫作成ファイル:
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