大大阪のれいめい

安西冬衛




光は東方から
かわらぬ真理のあけぼのに立つて
今、大淀の流れに影を映すわれらの都大大阪。
私は思う。
この水に生きるわれらの姿こそ
かのハドソンの河口に立つ自由の女神の精神にかな
永遠の平和の象徴しるしであることを。
そして又それは告げる。
キユーバの島から砂糖を
カンガルーの国から羊毛を
ともどもにもたら
私たちを繁栄に導く博い愛の道に通うことを。
やがてそれは私たちの内で
燃えあがる一つの力となり
私たちの手で
世界の人々を外から温く包む物を創り出す大きい役目を果すだろう。

水はめぐり水ははぐく
宇宙は一体で文化は一環だ。
水に生き水に育つわれらの都大大阪の黎明。
私たちのゆくては限りなくひろ
私たちの未来は涯もなくおおきい。





底本:「ふるさと文学館 第三三巻 【大阪※(ローマ数字2、1-13-22)】」ぎょうせい
   1995(平成7)年8月15日初版発行
底本の親本:「安西冬衛全集 3」寶文館出版
   1983(昭和58)年
初出:「大阪新聞」
   1948(昭和23)年1月1日
入力:大久保ゆう
校正:Juki
2016年1月1日作成
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