ぼくら ふたり

US TWO

A・A・ミルン A. A. Milne

大久保ゆう訳




 どこにいたって プーもいる
 いつだって プーとぼく
 なにしたって まねしたがる
「今日はどこ行く?」って プー
「へえ おもしろいね きぐうだね
 いっしょに行こう」って 言うんだよ
「いっしょに行こう」って プーのやつ

「2×11は?」って プーにきく
(「2×なに?」って かえすプー)
「たぶん22に なるはず」
「そうじゃないかと 思ったよ」って プー
「かけ算って そう やさしくないけどさ
 そうじゃないかと」って 言うんだよ
「そうじゃないかと」って プーのやつ

「ドラゴンさがしだ」って プーに言うと
「よし きた」って かえしてくるプー
 川を わたると それなりに 見つかる
「うんうん ドラゴン まさにあれ」って プー
「くちばし 見たら ぴんときた
 そうじゃないかと」って 言うんだよ
「そうじゃないかと」って プーのやつ

「びっくりさせよう」って プーに言うと
「いいね」って かえしてくるプー
「こわくないぞ」って ぼくは言って
 あいつの手を ふりふり さけぶんだ「シュー!
 このお ドラゴンめ!」 で にげてった
「こわいもんか」って 言い出すプー
「きみと いっしょなら こわくないんだ」

 だから どこにいたって プーもいる
 いつだって プーとぼく
「どうしよう」って プーに言うと
「きみが いなくなったら」って すると
「ひとりじゃ 楽しくなくても ふたりいっしょなら
 なんとかなるよね」って 言うんだよ
「そうじゃないかと」って プーのやつ

(おわり)
[#改ページ]
訳者付記
 この詩 “Us Two” は、その愛くるしいぬいぐるみのプーさんが象徴的にあらわれる詩。ぬいぐるみで一人遊びする子どもにとって、そのぬいぐるみがどれだけ大事で心強いものなのかが、わかります。
「クマのプーさん」原作者のA・A・ミルンの日本における著作権保護期間が2017年5月末に満了したそうですが、そのとき先にパブリックドメインとなって公開されているカナダの電子テキストを底本にして、通勤の途中にスマホを使いつつ、twitter に挙げながら訳したものです。パブリックドメインになると、こんなこともできるわけですね。訳文は、(手持ちの全集を見るなどして)あとで見直してもいます。
「原文の”said Pooh”のごろが良いんだよね」ってプー。





翻訳の底本:A. A. Milne (1927) "Now We Are Six"
   上記の翻訳底本は、著作権が失効しています。
   2017(平成29)年5月23日翻訳
   2017(平成29)年10月14日青空文庫版公開
   2017(平成29)年12月13日修正
※この翻訳は「クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンス」(https://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/)によって公開されています。
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翻訳者:大久保ゆう
2017年8月29日作成
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