晩夏
木下夕爾
停車場のプラットホームに
南瓜の蔓が匍いのぼる
閉された花の扉のすきまから
てんとう虫が外を見ている
軽便車が来た
誰も乗らない
誰も下りない
柵のそばの黍の葉つぱに
若い切符きりがちよつと鋏を入れる
底本:「日本の詩歌 26 近代詩集」中央公論社
1970(昭和45)年4月15日初版発行
1979(昭和54)年11月20日新訂版発行
入力:hitsuji
校正:きりんの手紙
2022年7月27日作成
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