「小泉八雲」| 作品名： | 銀河のロマンス |
| 作品名読み： | ぎんがのロマンス |
| 原題： | THE ROMANCE OF THE MILKY WAY |
| 副題： | （「天の河縁起」「天の川綺譚」） |
| 副題読み： | （「あまのがわえんぎ」「あまのがわきたん」） |
| 著者名： | 小泉 八雲 |
| 作品について： | 本作品はハーンの没後（1904（明治37）年9月26日死去）の1905（明治38）年8月に Atlantic Monthly 誌に発表された。 七夕・銀河の伝説は、恋する若い男女の心情、また地上から天空や宇宙に大きく広がって星・星座についてのロマンチックな想いや人の力を超えるものに対する空想を掻き立てるものである。 男女の恋愛と奥ゆかしい心情とともに、天空や星空それを支配する神をめぐる畏敬や崇拝の念が万葉集の七夕伝説を扱う多数の短歌を取り上げて日本的な変容や心情が描かれる。これらの伝説や星に関する西洋人の感じ方が科学的傾向にあるのに対して、それとは異なる日本人の心を解き明かそうとしている。 これら伝説は元々中国に由来するが、その祭祀が皇室でも採用されて江戸時代に至って一般庶民の間にも広まった。神道との関連も示唆されている。また、お祭りや祭祀は社会との関係も深いが、七夕伝説は機織りや農耕という日々の労働と忍耐そして技能や技芸に励むことの大切さを教え説くには有意義であったろう。さらには、天の川をはじめ天から降ってくる雨水の自然現象に大きく依存している稲作農業の普及や社会を背景としているのだろう。 織姫・牽牛（彦星）という伝説の男女の恋情や夜空の銀河伝説のロマンティシズムなものにも隠された意味があり、そこにも不可視的に私たちを馴染ませる人工的社会的な権威や権力があることも示唆するようである。いずれにせよ、七夕祭とそれを支えたものの底流にあるものに深い思いもたらすものとなっている。 相前後して、本作品を冒頭に掲げる THE ROMANCE OF THE MILKY WAY, AND OTHER STUDIES AND STORIES, by Lafcadio Hearn. Houghton Mifflin and Co. が単行本として1905（明治38）年10月18日に刊行された。 いずれも校正者が誰かは不明である。作者本人が死去したために特別に出版社の方で校正を行う手続きをとったか。 天の川や七夕を題材とした歌の収集、とくに万葉集を中心とした古歌などの収集などに寄与したのは、母方の縁者で出雲の同郷でもある三成重敬（みなりしげゆき）であった（小泉一雄『父小泉八雲』「四 アシスタンツ」（小山書店、1950））。しかし英語は達者ではなかったとされているので、本稿の英文校正までを担当したかは不明である。 参考までに、八雲の妻小泉節子の「思い出の記」（1914（大正3）年刊）は三成氏の手が入ったものである。その英文は Atlantic Monthly 誌にも発表されたが、子息の一雄氏によると英訳は落合貞三郎によったとある（同上）。 八雲の周辺で博学にして英語にも堪能となれば、横浜にいた雨森信成氏であろうか。現に、雨森は「人間、ラフカディオ・ハーン」を寄稿している（Amenomori, Nobushige (1905), "Lafcadio Hearn, the Man," The Atlantic Monthly, October 1905）。しかし、本作品の校正の有無は定かではない。 さらに、英語ができるとなれば教え子がいるが、なかでも松江中学時代の教え子で優等生の大谷正信氏であろう。しかし、ハーンは研究の補助的役割を担っていた大谷との行き違いから、東京帝大時代の中途からこの師弟は絶交状態となっていた。ハーン死後に許されたとはいえ、大谷氏が急遽校正の労を取ったとも考えにくい。この間の事情は小泉一雄・前掲書に詳しい。（林田清明） |
| 文字遣い種別： | 新字新仮名 |
| 備考： |
| 分類： | 著者 |
| 作家名： | 小泉 八雲 |
| 作家名読み： | こいずみ やくも |
| ローマ字表記： | Koizumi, Yakumo |
| 生年： | 1850-06-27 |
| 没年： | 1904-09-26 |
| 人物について： | 「小泉八雲」 |
| 分類： | 翻訳者 |
| 作家名： | 林田 清明 |
| 作家名読み： | はやしだ せいめい |
| ローマ字表記： | Hayashida, Seimei |
| 入力： | 林田清明 |
| ファイル種別 | 圧縮 | ファイル名（リンク） | 文字集合／符号化方式 | サイズ | 初登録日 | 最終更新日 |
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