|
|
|
2023年08月16日 | 10年 |
青空文庫を1997年に始めた人達(通称「呼びかけ人」)の一人、富田倫生さんが2013年8月16日に亡くなってから今年で10年になります。富田さんは元々は編集プロダクション出身のライターでありジャーナリストでもありましたが、大病を患ってからは、電子出版に、のちには電子図書館に可能性を見いだそうとしてきました。 富田さんが仲間と共に青空文庫を始めようと決めるまでとその後について知るには、まずは「作家別作品リスト:富田倫生」にて公開している5作品を読むのがいちばんです。原著の順番に並べますと: 「青空のリスタート」(1992(平成4)年、ソフトバンク出版事業部) この作品群に富田さんの半生と精神が籠っています。 今この知らせを書いている「そらもよう」では、富田さんは(倫)の名前で折々に作品の紹介や業務の報告を行ってきました。著作権保護期間延長の動きに対して2005年の元旦に「著作権保護期間の70年延長に反対する」を投稿して以降、最晩年の2013年まで毎年元旦に「そらもよう」を公開し、繰り返し著作権法の精神に触れながら著作権保護期間の延長に反対するとともに、パブリックドメインの文化的意義を説き続けてきました。その9本の投稿、今一度ぜひ読み通していただければと思います。 |
2023年08月02日 | ジャパンサーチとのメタデータ連携開始 |
かねてより進めておりました、デジタルアーカイブ等の横断検索サイト「ジャパンサーチ」(https://jpsearch.go.jp/)との青空文庫メタデータ連携につきまして、国立国会図書館のNDLサーチをつなぎ役といたしまして、8月1日より現行「作家別作品一覧CSVファイル」での書誌データ提供が開始されました。 詳しくは、「ジャパンサーチ」公式サイトおよび8月1日付「お知らせ」(https://jpsearch.go.jp/news/20230801)をご確認ください。 今回、メタデータ上の「著作権:なし」作品を「PDM」、「著作権:あり」作品をそのまま「著作権あり」の区分としつつ、資料固有の条件として「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」を設定することといたしました。 これで2021年12月1日付の「そらもよう」(https://www.aozora.gr.jp/soramoyou/soramoyou2021.html#000522)で予告しておりました連携の第一段階が無事に完了したことになります。 ご尽力してくださった関係各位の皆様に、心から感謝申し上げます。 今後はジャパンサーチも介して、青空文庫収録ファイルをさまざまにご活用いただけると幸いです。 |
2023年07月07日 | 26年目の七夕に――近況のご報告 |
青空文庫の誕生日は、趣意書「青空文庫の提案」に記された日付である7月7日ですので、つまりは今日で26周年というわけです。 25周年の節目に、長らく準備してきたシステム周りの大幅な再構築が本格化し、今年は充電中で迎える七夕となりました。 もちろん見えない内側ではいろいろな作業が発生しているわけですが、そのかたわら改装中でも青空の本を次の世代へ渡していくことを絶やしてはいけないと、(これまでの毎日更新からペースは落としつつも)日々の作品公開を続けております。 今日7月7日、そんな青空の本棚に新しい仲間が加わってくれました。 なんと、公益財団法人である大同生命国際文化基金さんが長年、国際理解を深める事業として続けておられる出版活動「アジアの現代文芸」シリーズが、青空文庫の本棚にリンク登録というかたちで入ることになりました。 この活動は、広大なアジアの諸国で愛されている現代文芸を厳選して、その日本語訳を出版して届けるというたいへん貴重な試みで、その優れたラインナップと訳文から斯界好評の叢書でもあります。 今回は、そのなかでも2012年から開始された企画「アジアの現代文芸 電子図書館」で電子化され公開されている作品について、リンク登録のありがたいご希望が大同生命国際文化基金さんから寄せられましたので、当文庫としても喜んで応じた次第です。 (書誌入力作業もボランティアの手によるため)すぐに全作品が登録されるわけではありませんが、準備の終わったものから順次スケジュールに組み込んで、月4~5作品ほどのペースで登録していく予定です。 この7月は、以下の作品が青空の本棚に入ります。(敬称略) 7月7日 イクバール、片岡弘次訳「永遠の書」、スライマン、藤村祐子訳「レダン山のお姫様 マレーシアの昔話」 なお、このシリーズの電子書籍は EPUB 形式のファイルで提供されていますので、対応している閲覧用のソフトウェアないしアプリケーションが必要となります。 すでに各種ビューワがありますが、ここでひとつ取り上げるとするなら、たとえばブラウザがあればOSを問わず使えるオープンソースソフトウェアの「Bibi」がおすすめです。 もし試してみたい方は、今回の登録作業で検証用にオンライン設置されたもの(https://www.alz.jp/221b/aozora/bibi/)をオープンにしておきますので、しばらくご自由にお使いください。Bibi を開いた状態で EPUB ファイルをブラウザ上にドラッグ&ドロップすると閲覧可能になります(なお読了後、別の作品を読む場合はブラウザを再読み込みすると初期画面に戻ります)。 そして本年進めております新システムの移行につきましては、4月19日付でご報告申し上げた通り、まずはメールシステムの更新が無事に終わりました。 グループウェアの導入に伴い、送信されたメールについて一括での管理が可能になりました。 一方で新しい機能やUIに慣れるまでは多少の時間を要することもわかりましたので、さまざまなご対応の全面再開については、今しばしお待ちいただけると助かります。 また、開発を佳境に入っておりました新データベースシステムは、こちらも無事にテスト用のシステムと環境の構築が完了し、ただいま検収中です。 近いうちに動作検証などについて、作業を始められればと思っております。 入力と校正の新規申請につきましては、引き続き休止中です。 入口ページが閉鎖されている一方で、フォームからじかに一部の入力申請が送信されている場合もあるようですが、入力・校正ともに新規の申請対応は、新体制に目処が付いて再開になるまで延期されることになりますので、あしからずご了承ください。 入力完了および校正完了ファイルにつきまして、ご送信いただいたものは引き続き受領しております。お返事を差し上げきれていないところもありますが、こちらもまだまだ通常時の「4週間以内」を越える場合がありますこと、もうしばらくご容赦ください。 作品の作業申し込みが出来ない状況ですが、同意メールは現在も頂戴しています。個別の返信はできていませんが、ご参加の意思表示ありがとうございます。入力校正受付が本格再開されたあかつきには、ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。 お気づきの方もおられるかと思いますが、アクセスランキングにつきましても、本年1月からお休みをいただいております。 ランキング開始時から集計と公開にお手伝いくださったボランティアの方も、今回のシステム更新を機会にご勇退なされるとのことで、これまでのご尽力に心から感謝を申し述べたいと思います。 こちらの再開につきましては、新しいシステムの中身とも関わることですので、システムの検証を進めつつ模索していく予定です。 デジタルアーカイブ等の横断検索サイト「ジャパンサーチ」(https://jpsearch.go.jp/)との連携につきましては、手続き等の折衝も終わりまして、あとは関係書類の決裁とサインを残すのみとなりました。 (先方の更新期日に間に合えば)近日中には、現行CSVデータでの検索連携が始まる予定です。 新装オープンに向けてやることはまだたくさんありますが、少しずつ進めてゆく所存です。 進捗につきましては、この「そらもよう」で随時ご報告申し上げます。 引き続き、お付き合いのほどをよろしくお願い申し上げます。 |
2023年04月19日 | 青空文庫メールシステムの更新について |
本年年始に予告しておりました通り、近く青空文庫のメールシステムの更新を行います。作業日は、今週末の4月22日(土)と23日(日)を予定しております。 それに伴いまして、ネームサーバとメールサーバの変更作業が実施されます。 22日(土)には、aozora.gr.jp ドメインに対するアクセスが一時不安定になる可能性があります。 また、22日(土)および23日(日)には、aozora.gr.jp ドメイン宛てのメールが、届きにくくなるおそれがあります。 (新しいシステムに慣れるまで、継続中の各種対応もゆっくりになることがあるかと存じますが、あしからずご容赦ください) ご不便をおかけして恐縮ですが、どうかご留意のほどよろしくお願い申し上げます。 |
2023年01月01日 | 『電子アーカイヴ』はしばし電気をためて夢を見る |
青空文庫は創設5年目である2002年9月に、その作品管理の仕組みをデータベース化し、ボランティアの手で入力・点検・校正した電子テキストを日々公開する体制を整えました。 この導入は、青空文庫のボランティア活動を支えるだけでなく、その省力化を測るものでもあり、そのおかげで青空文庫は長く続けることができたと言えます。 とはいえ、デジタル技術も作業の実際も、時とともに大きく変わり、それから20年のあいだに現状のテクノロジーや活動に合わなくなるところも大きくなりました。 また、途中開発されてきた各種ツールなどの支援はあるものの、手作業や余分な工程が必要となるところも多々現れ始め、ボランティア各人にとっての負担も次第に大きくなっていきました。 そろそろ古びた建屋をあらためて作り直すときがやってきたのでしょう。 新しいサーバと管理データベース、そして運営システムの構築については、2017年の青空文庫20周年を節目として、水面下で着実に進めてきており、まずは同年3月にはサーバの老朽化に伴うクラウドへ移管、翌2018年3月にはサイトのSSL化が行われました。 あいだにコロナ禍を挟み、予期せぬ利用の増加もありましたが、一方で活動の制限が開発準備にも大きく影響を与えたことも確かで、さらにボランティア作業への負荷もどんどんと積み重なっていきました。 しかしながら2021年末にはようやく、デジタルアーカイブ等の横断検索サイト「ジャパンサーチ」(https://jpsearch.go.jp/)との連携予定と、それと機を一にした次期青空文庫データベースの開発に際しての「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」と「作家別作品一覧CSVファイル」の改訂対応についても事前アナウンスできました。 そして昨年末に予告したように、本年元旦より青空文庫の「式年遷宮」の準備とその検証、そして移行を目指して本格的な作業を開始いたします。 そのなかで、現在運用中のシステムやサーバを休止させる必要があるため、同時にわたしたちボランティアの作業フローも合わせていったんお休みさせなければいけません。 青空文庫では、おそらく長期にわたるであろうこのお休みの日々を電子アーカイヴの「充電期間」としてまずは1年間設定した上で、上述の2点に関して、そのおおまかな内容をご説明したいと思います。 「式年遷宮」については、多くのみなさんからの寄付を積み立てた「本の未来基金」からの資金援助を得ながら、以下のステップを順次進めていく予定です。 ・新年後の早い段階で、青空文庫のメールシステムの更新(数日メールの受領がしにくくなる時期が生じます) ・メールシステム更新後、システムの確認と新しい共同ワークスペースの検証 ・耕作員向けの情報交換掲示板等の開放 ・耕作員向けのファイルアップロードシステムの準備と導入 ・新データベースシステムの準備と検証 ・新データベースシステムの追加要件のまとめと改造 ・新データベースシステムの運用試行 ・新データベースシステムへの引っ越しと青空文庫の改装 ・新データベースシステムの本運用開始 一時休止する作業フローのうち、「入力申請」「校正申請」については、以下のような対応を取ります。 ・新年1月1日から reception サーバ(「作業着手連絡システム」)による新規申請の受付休止 点検の要である「入力・校正ファイルの受領」については、以下の対応になります。 ・新年1月1日から未作業分の受領後点検の休止(入力完了ファイルについては順次「校正待ち(点検前)」、校正後ファイルについては管理上いったん「非公開」ステータスの扱いとなります) ・受領後点検と「校了」ステータスの完全再開は、新データベースシステムの本運用開始と高品質ファイル作成に目処がついてから そのほか、著作権ありの作品を取り扱う「翻訳作品登録」の受付や、誤植指摘については、以下の方針で対応を継続します。 ・これまで reception@aozora.gr.jp でしていた業務を、info@aozora.gr.jp で代行 日々行ってきた「作品公開」については、昨年末の予告にもあった通り、ペースを落として継続する予定です。 ・公開用サイト(https://www.aozora.gr.jp/)はこれまで通り今後も常時開館 ・昨年末までに受領点検の終わった校了作品を対象として、月10本を目安に作品の新規公開を予定 ・翻訳登録作品は、随時公開予定に挿入 なお活動の見直しに伴い、みなさんから寄せられた作業連絡や問合せにの返信について一部保留しておりますが、個別の事情や進捗に鑑みながら徐々に返信を再開していきます(メールシステムの更新後になることもあります)。 その際、ファイルの再確認・再入力・再校正をお願いしたりする場合もありますが、よろしくご協力ください。 そして、新システムの準備中には、耕作員から特務チームを募るとともに、耕作員向けの作業用ワークスペースの提供も行って、作業品質の向上と情報交換の円滑化を測りたいと考えています。 それぞれのタイミングと詳細については、作業の進捗に従って、随時この「そらもよう」でも告知して参りますので、よろしくお願い申し上げます。 また、そのときどきの状況によって、上述の内容・予定は変わることがありますので、あらかじめご了承ください。 青空文庫という電子アーカイヴのバックヤードである管理棟は、設備と建物のリニューアルのためにいったん長いお休みをいただきたいと思います。 そしてその改装準備・作業・復帰準備のあいだは、なるべく省力化して、次なる発展のための充電を行いつつ、活動を続ける所存です。 ただし、どうせ眠るのであれば、できるだけ明るい夢を見たいと考えています。 そのなかで、またさまざまなことが生じてくるかと存じますが、青空文庫に関わる皆々様、その夢とお付き合いのほどお願い申し上げます。 |