そらもよう
 


2021年12月01日 ジャパンサーチとのメタデータ連携と次期青空文庫データベースの開発に際しての「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」と「作家別作品一覧CSVファイル」の改訂対応について
1.はじめに
国立国会図書館が運営維持しているデジタルアーカイブ等の横断検索サイト「ジャパンサーチ」(https://jpsearch.go.jp/)では、国内のデジタルアーカイブに向けて、メタデータの連携を呼びかけています。
青空文庫でも、これに応じて、書誌のメタデータ(当文庫の場合は現「作家別作品一覧CSVファイル」)をジャパンサーチに提供しようと考えています。
「作家別作品一覧CSVファイル」は、現在、各種データベースや読書アプリ、電子書店、ウェブサービスなどで、青空文庫由来のファイルを管理するためにも広く使われています。

2.連携の第一段階として
現在、青空文庫の書誌データは、国立国会図書館のNDLサーチ(https://iss.ndl.go.jp/)でも利用可能となっています(参考:「青空文庫FAQ」)。
ジャパンサーチとの連携の第一段階として、まずはこの書誌データをジャパンサーチでも利用可能にしたいと思います。

ジャパンサーチでは、メタデータの提供条件がクリエイティブ・コモンズの「表示 4.0 国際 パブリック・ライセンス」または「CC0 1.0 全世界 パブリック・ライセンス」となっておりますので、これに対応する必要があります。
そこで、青空文庫では、「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に示されている図書カードや書架情報についてのライセンスを、まずは現行のクリエイティブ・コモンズ「表示 2.1 日本 ライセンス」から、「表示 4.0 国際 ライセンス」(https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja)へと、2022年1月1日付けで更新いたします。
同時に、「青空文庫作業マニュアル」も、「表示 - 非営利 2.1 日本 ライセンス」から「表示 - 非営利 4.0 国際 ライセンス」(https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja)へ、「注記一覧」についても、「表示 2.1 日本 ライセンス」から「表示 4.0 国際 ライセンス」へ更新するものとします。

また、ジャパンサーチでは、デジタルコンテンツの二次利用条件表示についても求められます。
こちらについては、青空文庫が現在「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」という独自のガイドラインで運用していること、および現在NDLサーチに提供されている青空文庫の書誌データに、著作権に関する項目が採り入れられていないことから、ひとまずは各コンテンツの著作権状態は表示せず、「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」への確認表示を掲示するかたちで、連携を行うことを目指します。

3.連携の第二段階として
しかし、上記の連携はまだ不十分なものであることは否めません。
そこで青空文庫では、現在開発中の次期データベースの設計作業と並行するかたちで、メタデータと取り扱い規準を、「デジタルアーカイブにおける望ましい二次利用条件表示の在り方について(2019 年版)」(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/digitalarchive_suisiniinkai/jitumusya/2018/nijiriyou2019.pdf)に沿ったかたちで対応させ、メタデータそのものも定義に即したものを別途用意し、将来的にジャパンサーチとのメタデータの連携をさらに円滑化させたいと考えています。

まず、次期データベースでは、書誌のメタデータ(現在の「作家別作品一覧CSVファイル」にあたるもの)は、「CC0 1.0 全世界 パブリック・ライセンス」(https://creativecommons.org/publicdomain/zero/1.0/deed.ja)で提供することを前提に、設計するものとします。

同時に、現在の青空文庫では各作品やその図書カードには簡易的に「著作権あり」「著作権なし」の表示がなされていますが、前掲「デジタルアーカイブにおける望ましい二次利用条件表示の在り方について(2019 年版)」および「ジャパンサーチ:デジタルコンテンツの二次利用条件表示について」(https://jpsearch.go.jp/policy/available-rights-statements)に従って、推奨されている権利表記(権利区分)に対応するものを「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」に併記し、メタデータ内にも表示することを次期データベースでは目指します。(注:なお従来の形式と互換するCSVも継続して提供する予定です)

具体的には、現在の「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」における項目で、「著作権の切れている作品」については、「了解を求めたりする必要はありません。」のあとに、「上記の規準は、「クリエイティブ・コモンズ パブリック・ドメイン・マーク 1.0」(https://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/deed.ja)に準ずるものとします。」の一文を加えます。

「著作権の切れていない作品」については、「図書カード・作品ファイル中、もしくは図書カードからリンクした作者にかかわるウェッブページに」という記述を、「図書カード・作品ファイル・書誌データ中、もしくは図書カードからリンクした作者にかかわるウェブページに」とあらため、青空文庫内に収録されているものについては該当するクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをメタデータに書き込み、リンク登録されている作品には、「Rights Statements - 著作権あり」をメタデータとして一括付与します。

そして、「図書カードや書架情報について」の項目では、新規書誌メタデータの名称を加えた上で、あらためて「クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンス」から「CC0 1.0 全世界 パブリック・ライセンス」への更新を行います。
同時に、その書架情報・書誌の中には「ファイル作成」というメタデータ項目を設け、文庫内に入っている作品には一括して「青空文庫、ボランティアのみなさん」を設定します。

最後の対応は、現行の「取り扱い規準」内で、以下のお願いがなされていることをメタデータに実装するためのものです。

「ファイルには、作品名・著者名・翻訳者名・底本などに関する情報・入力者名・校正者名・ファイルが作成された日付・修正された日付、「青空文庫作成ファイル:」以下の由来に関する注などが記載されています。(参照:「青空文庫収録ファイルへの記載事項」
 利用や複製・再配布・共有にあたって、青空文庫側は、これらの情報が削除されないことを希望します。
 底本や表記の変更に際しては、どの底本に基づいたファイルにどのような変更を加えたかという作業履歴が明記されることを期待します。」

上記の文言は、前掲文書で推奨されている権利表記(権利区分)に照らし合わせると、一見「Rights Statements: 著作権なし-契約による制限あり」のようにも見えますが、あくまで契約ではなく、お願い・希望・期待に過ぎません。
もちろん、提供されるファイルそのものがパブリック・ドメインであることに変わりありません。ただし、このお願い自体は、青空文庫が産まれ育ってきた経緯にとっても、たいへん重要なものです。

そこで、青空文庫では、メタデータを CC0 で提供しつつ、その中に「作品名・著者名・翻訳者名・底本などに関する情報・入力者名・校正者名・ファイルが作成された日付・修正された日付、「青空文庫作成ファイル:」以下の由来に関する注など」をすべて実装することで、このお願いをデータという形式で実質的に行ったものであると見なしたいと思います。

こうした「取り扱い規準」や「CSVファイル」(メタデータ)の改訂対応は、ボランティア間の同意に基づいて作成されたパブリック・ドメインの取り扱いや、青空文庫の理念を変更するものではありません。
その取り扱いの法的な現状を追認した上で、青空文庫の理念を今後の社会で適切に達成していくための更新であると、ご理解いただけると幸いです。
この件についてのお問い合わせは、info@aozora.gr.jp まで、よろしくお願いいたします。

2021年07月07日 リンク集「耕作員手帳」
青空文庫は、マニフェストである「青空文庫の提案」がまとまった1997年7月7日を公式な誕生日としております。
その日から数えて今日で24周年、そしてここから25年目の青空文庫が始まります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

この日に合わせて、ささやかな更新を行いました。
トップページにある「資料室」の3つめに、「耕作員手帳」という項目が追加されています。

これまでにも「青空文庫FAQ」からリンクされていた「工作員手帳」というページをご利用いただいていたかたにはおなじみだと思いますが、これは青空文庫の作業を行うときに用いるマニュアルや役立つオンラインツールへのリンク集です。
今までは有志のボランティアによって制作された当サイト外のページでしたが、今日から仲間に加わりました。どうかご活用くださいませ。(U)

2021年04月19日 小林多喜二「一九二八・三・一五」の入力をご担当いただいている方にお願い
小林多喜二「一九二八・三・一五」の入力をご担当いただいている方に申し上げます。

作業を引き継げないかとの打診を受けて、進捗状況とお気持ちの確認のためメールをお送りしましたが、お返事がありませんでした。
reception@aozora.gr.jp宛に、ご一報をお願いします。

本日から一ヶ月、ご連絡を待ちます。
一月を経て、連絡を取り合えない場合は、これらの入力を引き継いでいただこうと思います。

作業の継続が難しくなった際は、皆さん、どうぞお気軽に、reception@aozora.gr.jpまでご連絡ください。
メールアドレス変更の際は、reception@aozora.gr.jp宛にご一報をお願いします。(門)

2021年04月05日 斎藤茂吉「赤光」の入力をご担当いただいている方にお願い
斎藤茂吉「赤光」の入力をご担当いただいている方に申し上げます。

作業を引き継げないかとの打診を受けて、進捗状況とお気持ちの確認のためメールをお送りしましたが、お返事がありませんでした。
reception@aozora.gr.jp宛に、ご一報をお願いします。

本日から一ヶ月、ご連絡を待ちます。
一月を経て、連絡を取り合えない場合は、これらの入力を引き継いでいただこうと思います。

作業の継続が難しくなった際は、皆さん、どうぞお気軽に、reception@aozora.gr.jpまでご連絡ください。
メールアドレス変更の際は、reception@aozora.gr.jp宛にご一報をお願いします。(門)

2021年01月01日 本棚をいっぱいにすれば、嵐にも立ち向かえる
2021年は、世界的にもきびしい状況での幕開けとなりました。

2020年に起こった世界規模のパンデミックは、青空文庫にも大きな影響を与え、4月には緊急事態宣言による外出自粛要請に伴って、受付・点検を一部休止することになりました。
7月には制限付き再開をしましたが、依然として感染流行は第2波・第3波と続いているため、いまだ全面再開するには至っていません。
青空文庫では、安全と健康を第一として本年も制限を継続し、底本画像の提供をお願いいたしますので、作業者のみなさんはご協力のほどよろしくお願いいたします。
また底本確保に時間のかかる場合や、実際の底本を用いた確認点検には、1ヶ月~半年ほど要することもありますので、あしからずご容赦ください。

一方で、外出自粛期間中には青空文庫に対するアクセスも増えました。
平時、青空文庫は1日のセッション数が8万~11万ほどあり、10万未満のことが通常なのですが、4月に入ってからは10万を超える日が続き(4月7日が16万)、下旬からは12万超、そして5月1日には21万セッションに到達しました。
ある意味では通常時の倍の入館者数があったということで、大きな生活スタイルの変化が感じられる数字でした。
5月のアクセスが突出したあと、6月、7月、8月、10月が4月の水準をキープしたままとなり、利用の多い月が続いています。
同時に青空文庫収録作品について、SNSでの紹介や共有も近年ぐっと増えてきており、今まで以上に多くの方々が文芸を気軽に身近に親しく思っていただいていることを、ひしひしと実感します。
そして困難な時代に、こうして青空文庫をそばに置いてくださっていることを、たいへん嬉しく思います。

こうしたなかで、青空文庫の活用も進みました。
とりわけ童話作品のアクセス増が多かったのですが、そこには自宅での読み聞かせなどの利用が増えたこともあったでしょう。
室内でできる読み聞かせや朗読、またそのネット配信は、声優さんたちのプロジェクト(例:「#せいゆうろうどくかい」)やVTuberさんたちの盛り上がりもあって、今でもさかんにその活動が続けられて、さまざまな方々の心の潤いにもなっています。

これまで朗読配信についても、「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」の利用範疇にあるものとしていましたが、利用の増加とともに問い合わせも激増し、ボランティアの限られたリソースではとても個別の対応ができるものではありませんでした。
そこで、4月にこの告知板「そらもよう」にて「青空文庫収録ファイルを用いた朗読配信をお考えのみなさまへ」を掲げ、その利用ガイドや参考資料・ツールなどをまとめることで、その回答に代えています。
ただしこの新年から上記お知らせは過去ログへと移動しますので、今回あらためて個別ページを設けました。
今後の参照には、新しい「青空文庫収録ファイルの朗読配信について」ページをご利用ください。

しかし、きびしい時世のため、予定していた計画を見直す事態にもなりました。
かつての「青空文庫 寄贈計画」を海外向けに再開し、同時に諸外国における青空文庫を初めとする日本語文書アーカイヴの利用状況を現地調査しつつネットワークを構築するというプロジェクトを、2020年内から青空文庫25周年へ向けて積極的に推進していくことを企図していましたが、国際的な交通が大幅に制限されてしまった現在では、実行が困難になってしまいました。

さらに緊急事態宣言下で別の問題も見えてきました。
図書館や学校の一斉閉鎖のため、青空文庫のコンテンツは教育機関などで教科書・テキストや課題図書等の代用として活用されましたが、これは必ずしも望ましい事態だったとは言い切れません。
あくまで社会や文化の安全装置として機能はしましたが、青空文庫のアーカイヴはアクセスが制限された社会・文化リソースを補うにはまだまだ不十分であり、本来は社会そのものが非常事態にも対応可能な整備をしておくべきものだったと言えます。
そして非常事態にも耐えうる社会というのは、むしろ平時にも強固かつ万全のリソースを備えたものとして、誰にとっても頼れる社会であっただろうと思われます。

こうした課題も見据えつつ、青空文庫を支援している「本の未来基金」では、次世代へと向けたプロジェクトを計画しています。
これまでにも青空文庫では「作品収録を望まれる方へ」を掲げて、作者自身による許諾と作業によって著作権保護期間中の作品も受け入れていますが、実作業へのハードルや点検側の底本確認作業の手間が、円滑な登録を阻むものにもなっていました。
また現在、青空文庫では各自の作業はほぼオフラインになっていますが、デジタルアーカイヴ分野ではオンラインを通じた共同作業が本格化しています。

そこで具体的な案として、将来的には「著作権保護期間中の作品を青空文庫と同等の規準とファイルのもとで公開する」ことを目的にしたサイトを新規に立ち上げ、公開許諾作品を著作権者から公募し、そしてその作業員も募るとともに作業時に新たなオンライン共同作業ツールを実験・導入することで、2つの面から改善を模索していきつつ、アーカイヴ技術の継承や育成を目指すことができないかと、プロジェクトが水面下で準備されています。
こちらの計画については、近日中になされる本の未来基金からのアナウンスをお待ち頂ければ幸いです。

また、昨年の年始に触れた著作者のわからない孤児作品(オーファン・ワークス)の取扱についても、非常時のために検討が遅れていましたが、引き続き考えていければと思っています。

旧年中は多大なご支援ありがとうございました。とりわけ作業に尽力されているボランティアの皆様と、さまざまに活用していただいているユーザの方々には、この嵐の時期に支えてくださり、心より感謝申し上げます。
本年も青空文庫と本の未来基金をよろしくお願いいたします。今年も青い空のもとで本棚を、あふれるくらいいっぱいにしていきましょう。(U)


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