そらもよう
 


2018年03月31日 青空文庫のSSL化対応についてのお知らせ
青空文庫のSSL化に伴い、3月31日から4月1日にかけての深夜(ピンポイントで時間指定ができませんが短時間ですみます)に青空文庫のメンテナンスを行います。メンテナンス後、URLが次のように変更になります:

青空文庫(本体) http://www.aozora.gr.jp/ → https://www.aozora.gr.jp/
作業着手連絡システム http://reception.aozora.gr.jp/ → https://reception.aozora.gr.jp/

旧URLへアクセスしても新URLへ自動的にリダイレクトされますが、ご自分のHPやblogなどから青空文庫・作業着手連絡システムへURLのリンクを付けられている方、並びブックマークを登録されている方は、新URLに改めていただけますと幸甚です。

SSL化に伴い、既存のファイル、各種マニュアル、ツール等の旧URLも今後新URLへ順次変更してまいりますが、しばらくお時間を頂戴できれば幸甚です。

2018年02月02日 勉強会のご紹介とお知らせ:「青空文庫 × StudyCode × ssmjp」
来週に迫ってからのお知らせで恐縮ですが、
きたる2月6日(火)、著作権をテーマとした勉強会「青空文庫 × StudyCode × ssmjp」が #ssmjp 様の主催で行われます。
会場は株式会社メルカリ(東京都港区)、開始時刻は19:30です。
青空文庫からは大久保ゆうさんが「素材・実験室・広場としての青空文庫」の題で登壇致します。

事前申込制です。当日のタイムテーブル並びに参加申込については
青空文庫 × StudyCode × ssmjp
をご覧下さい。(J)

2018年01月01日 昭和という時代のアーカイヴを目指して
今年なればこそ、ことさら大きな声で言祝ぎましょう。ハッピー・パブリック・ドメイン・デイ! 2018年の年始は、青空文庫が元旦の作品公開を始めて以降、最大の作家数でお届けします。

 鮎川 義介「革命を待つ心 ――今の実業家、昔の実業家――
 勝本 清一郎「カフェー
 金沢 庄三郎「『辭林』緒言
 木村 荘十「雲南守備兵
 窪田 空穂「
 島 秋人「遺愛集 あとがき
 新村 出「『広辞苑』自序
 薄田 太郎「広島という名の由来
 恒藤 恭「学生時代の菊池寛
 壺井 栄「二十四の瞳
 時枝 誠記「国語学と国語教育
 富田 常雄「転がり試合 柔道と拳闘の
 中村 清太郎「残雪の幻像
 野上 彰「本因坊秀哉
 早川 鮎子「穂高岳屏風岩にて
 菱山 修三「再びこの人を見よ ――故梶井基次郎氏
 秘田 余四郎「字幕閑話
 三宅 周太郎「中村梅玉論 大根か名優か
 森 於菟「放心教授
 矢崎 源九郎「絵のない絵本 解説
 柳原 白蓮「私の思い出
 矢部 貞治「政治学入門
 山浦 貫一「老人退場説
 山本 周五郎「青べか物語
 吉田 茂「私は隠居ではない
 吉野 秀雄「秋艸道人の書について
 淀野 隆三「思ひ出づるまゝに
 笠 信太郎「デモクラシーのいろいろ

以上、28名の作家による28篇の文章を、社会に共有の許された財産として、誰でも自由に触れられる青空の本棚に挿し入れたいと思います。
特に、青空文庫の呼びかけ人・富田倫生さんの大好きだった山本周五郎「青べか物語」を、無事に公開できることを仲間のひとりとして、たいへん嬉しく感じています。

さて今回こうして、いつも以上に大勢の作家をご紹介するのは、大きな理由があります。というのも今わたしたちは、時代の大きな境目にいて、大事な瀬戸際に立っているからです。

昨年末、日本とEU間の経済連携協定(EPA)が合意に達したとの報道がなされました。7月には大筋合意がなされていましたが、その内容は4ヵ月間伏されたままで、なんと11月にひっそりと公開されたその内容には、著作権保護期間を現行の死後50年から70年へと延長するという項目も含まれていたのです。

TPP(環太平洋経済連携協定)からアメリカ合衆国が離脱し、知財項目も凍結されようという趨勢のなか、その逆を行く交渉が、国民に明らかにされないまま進められ、決定されたことになります。

EPAの実際の発効は2019年頃と目されていますが、ご存じの通り、その年は「平成」という時代が終わる年でもあります。このまま進むと、来年年始をいったんの節目としてパブリック・ドメイン・デイは20年間訪れないことになり、ある文化が共有財産になるかならないかの区切りが、1968(昭和43)年と1969(昭和44)年のあいだに引かれることとなります。

平成という30年の時を経て、昭和という時代も遠くなりつつあります。今年からパブリック・ドメインとなる作家たちも、その「昭和」を象徴する人たちが少なくありません。

吉田茂は、言うまでもなく、戦後昭和とその復興を牽引した政治家のひとりです。富田常雄の代表作「姿三四郎」や、壺井栄の「二十四の瞳」は、繰り返し映画やTVの原作として映像化されました。
映画好きの方であれば、秘田余四郎の名を懐かしく思う方もあるでしょう。字幕翻訳者として「天井桟敷の人々」「禁じられた遊び」などの映画を手がけましたが、なかでも彼の訳した「第三の男」の台詞「今夜の酒は荒れそうだ」は、人々の記憶に残るものとなっています。

これからのアーカイヴには、原作のみならずその映像化作品をどう残していくか、そこへのアクセスをどうするかも問題となるでしょう。海外の映画であれば、その作品そのものだけでなく、受容に大きな役割を果たした字幕などの「翻訳台本」をどう保存して伝えていくかも、同じく課題になってくるはずです。

しかし今の状況そして法律は、こうした昭和の文化を「あとに残して世に開く」行為を支えるものとなっているでしょうか。今後失われるかもしれない20年のパブリック・ドメインは、まさに昭和の記憶と証言の核を作ってゆくものです。

また昨年を振り返ってみれば、あらためて近代文芸とその作家たち、そしてそこに関わった人々の関係性が再注目された一年でもありました。この元旦に公開する作品・作家も、互いに縁のあるものが少なくありません。

菱山修三と淀野隆三はともに、昭和初期のモダニズムの機運を作った詩誌「詩と詩論」の同人でありました。
また、昭和の自然主義的短歌の流れを生んだ窪田空穂はその晩年に、獄中から歌人を志した島秋人を見出しています。
戦後の日本語を記録し日本社会を反映し続けた辞書「広辞苑」は新村出の名とともに普及していますが、対抗する辞書「広辞林」の元となり新村編の「辞苑」にも先行する金沢庄三郎の「辞林」も、欠くべからざるものです。

これらが死蔵されてゆくのか、ただ限られた場でのみ公開されるものとなるのか。それとも、自由なものとして広く共有されるものとなるのか。この差は、アーカイヴにとっても、わたしたちの社会にとっても、大きな違いとなりましょう。

平成を終えるにあたって、昭和という過去をいかにアーカイヴするのかは、わたしたち自身に突きつけられた課題なのです。

そして今年の年始も、「著作権あり」の作品をお送りします。
あくる2日には、太田健一さんの「人生は擬似体験ゲーム」を、著作者本人の求めに応じて、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付して収録・公開致します。
当該作は1988(昭和63)年、第7回海燕新人文学賞を受賞し、刊行当時、評論家・倉林靖にも「現実←→ゲームの世界の逆転」を前提にした上で、「いま我々が直面している現実に対してより切迫した感覚を与え」、「小説的な毒の可能性」を持つものとして評価されています。

同じく青空文庫でかつての自作を公開したいと思う作家のみなさんのご意思を、歓迎したいと思います。「青空文庫への作品収録を望まれる方へ」のページをご一読の上、ご相談をいただけると幸甚です。

さらに翌3日には、校了したものの長らく未公開だった押川春浪井沢衣水の「本州横断 痛快徒歩旅行」を、お届けします。
井沢衣水の生没年が不明であったためですが、昨年末、確度の高い情報が寄せられ(aozorablog参照)、本年年始からパブリック・ドメインとなることが明らかになりました。公開に向けてのみなさまのご尽力に、あらためて御礼申し上げます。

また「会計報告」でも、第18期の収支計算書・貸借対照表をアップロードしています。

そして20周年を迎えた青空文庫では、未来に向けての活動も草の根で始まりつつあります。
現在、新たな「掲示板・フォーラム」を、「AOZORAX」というサイトでご協力をいただきつつ準備中です。
すでに書込可能となっておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

また青空文庫のサイトないしデータベースの改修や、いわゆる「式年遷宮」へ向けた新規構築の試みも探られつつあります。
直近の作業としては、本体サイトおよび管理データベースの常時SSL化を予定しております。その際、クローリングしているサービスやアプリに影響が出る場合がございます。ご対象のみなさんは、ご対応の準備をして頂けると幸いです。

そして現在ボランティアの差配を担っているメンバーも、運営的立場に就いてからおおむね平均5年の活動期間が過ぎようとしており、引継ぎや増員、ないしはしばしの休息が喫緊の課題になって参りました。
こうした今後の件についても、上記フォーラムなどを通じて協議してゆければと思います。

21年目へと漕ぎ出す青空文庫というささやかな舟に、どうか良き日和と風、人のご縁がありますように。(U)


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