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2025年01月01日 | 仮のご挨拶――新館移転へ向けて |
ハッピー・パブリック・ドメイン・デイ! 日本では新しいパブリック・ドメインが生まれていなくても、世界のどこかでは、新たに人類の共有財産となっている作品があるということで、この言葉を年始の挨拶とさせてください。 本年も青空文庫をよろしくお願い申し上げます。 前回のお知らせ7月7日以降、新館開館へ向けてさまざまな作業を進めて参りました。 なかでも、作業済みの作品の確認点検を裏方ボランティアのあいだで地道に行っておりましたが、いかんせんお休み中のブランクがあり、完全な復調に時間がかかっております(お返事も滞っているところがあり、たいへん恐縮ながらどうかご容赦ください)。 今のところ、2024年2月24日までに届いている作品の校了確認が終わり、以降のものも一部、無事に校了のステータスとなっているものがあります。 今後も順次、校了確認を続けて参りますので、校了ファイルについては引き続き reception@aozora.gr.jp までご送付いただいて問題ありません。 また近々、校正については新規受付を再開しようと準備をしております。もうしばしお待ちくださいませ。 (入力受付についても、お手伝いのご連絡をいただいたかたに、新年よりお返事していきたく思います。少し著作権の知識が必要な作業なので、慎重に確認していければと考えています。) 新館開館については水面下での試用期間が続いておりますが、こちらも今年の早い段階でオープンβ的なかたちに移行できればと思います。 安定稼働に向けてステップは着実に進んでいますので、ご安心ください。 こうした支度のあいだにも、青空文庫のテキストはさまざまなかたちで活用されています。 昨年2月、国立国会図書館のNDLラボから「青空文庫振り仮名注釈付き音声コーパス」が公開されたことは、嬉しいニュースでした。 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」にある音声デイジーデータ(音声と文字・画像を同期させたバリアフリー電子書籍)と青空文庫の公開テキストを組み合わせたもので、福祉のみならず幅広い活用が期待できます。 また3月には、円城塔、澤西祐典、福永信3氏による競作「○○を書く」シリーズの最新セッション「琵琶湖を読む・書く」も開催され、その模様や成果は『文學界』2024年10月号で報告・発表されています。 近年では、WEBメディア「オモコロ」にて、かつて本が読めなかったという〈みくのしん〉さんがあらためて読書に挑むシリーズ企画が繰り広げられ、そのなかで複数回、青空文庫のテキストが電子書籍端末を利用して読まれています。 (例:「オツベルと象」「羅生門」) 毎回、みくのしんさんによる感受性の豊かな精読が展開されており、そして読書行為そのものがこうして共有されることで、新たな感動が生まれている素晴らしさに深い感銘を受けています。 青空文庫は、こうした読書の可能性を広げる試みを大歓迎します。 ソーシャルVRプラットホームに対応した青空文庫ライブラリが制作されて以降、VR空間内では読書のみならずヴァーチャル朗読会が行われ、現在では各種動画サイトの配信も含め、広く青空文庫のテキストが「声で作品を共有して楽しむ」ことに活用されています。 当文庫では利用についてのガイドラインや案内を設け、青空文庫テキスト活用の支援を行っています。ご確認の上で、適切にご利用ください。
時折、各テキストが薄紅色の図書カードで「著作権存続」の表示がされているからといって、利用できないものと即断して諦めるかたも散見されますが、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付されていれば、ライセンスの範囲内でご利用いただけますので、各種ガイドラインを今一度ご一読ください。 そのほか昨年は、一昨年から受け入れを始めた公益財団法人大同生命国際文化基金さんの「アジアの現代文芸シリーズ」について、翻訳書57冊の登録を完遂することができました。 そのなかで、図書カードの備考欄から利用可能な縦書き対応ビューワからも、それぞれのサービス元の尽力もあってそのまま閲覧できるようになっています。 (なお「青空 in Browsers」は一部作品の対応表示、「えあ草紙・青空図書館」は全作品の簡易表示) これまで長らく海外SFやファンタジー、サスペンス作品の新訳をクリエイティブ・コモンズ・ライセンスでご提供してくださった奥増夫さんについても、ご申請のあった全72作品が昨年末で登録完了となりました。ご厚意に感謝申し上げます。 翻訳以外のオリジナルな著作権存続作品については昨年の春以降、新規収録の対応が滞っておりますが、余裕ができ次第、順次ご連絡を差し上げられればと思います。恐縮ですがもうしばしお待ちください。 今回はお知らせがメインとなりましたが、いつもの年始のご挨拶を期待されていたかたには、少し物足りなかったかもしれません。 しかしながら、〈真のご挨拶〉はやはり、新館移転まで取っておきたいと思います。 これまで長く時間を要しており、久しくお待たせしておりますが、本年もよろしくお願い申し上げます。 |