そらもよう
 


2022年02月28日 牧野富太郎「私の信条」の校正をご担当いただいている方にお願い
牧野富太郎「私の信条」の校正をご担当いただいている方に申し上げます。

作業を引き継げないかとの打診を受けて、進捗状況とお気持ちの確認のためメールをお送りしましたが、不達でした。
reception@aozora.gr.jp宛に、ご一報をお願いします。

本日から一ヶ月、ご連絡を待ちます。
一月を経て、連絡を取り合えない場合は、校正を引き継いでいただこうと思います。

作業の継続が難しくなった際は、皆さん、どうぞお気軽に、reception@aozora.gr.jpまでご連絡ください。
メールアドレス変更の際は、reception@aozora.gr.jp宛にご一報をお願いします。(門)

2022年01月01日 みんなで作るテクスト共同体のその先へ
長く険しいこの2年間を抜けて、2022年にたどり着くことができました。わたしたちの世界に残されたわざわいの爪痕のことを想いながら行く年に祈りを捧げつつ、この来る年を無事に迎えられたことを素直な心で言祝ぎたいと想います。

本年の青空文庫を始めるにあたって、3が日は以下の作品を公開いたします。

1月1日:円城 塔「鉄道模型の夜」、澤西 祐典「くじらようかん」、福永 信「三重塔にて
1月2日:尾崎 士郎訳「現代語訳 平家物語 01 第一巻
1月3日:鴨 長明、佐藤 春夫訳「現代語訳 方丈記

元旦に公開される福永信・澤西祐典・円城塔の三氏の作品は、2017年始に青空文庫に収録された「文学への誘い 別府を読む×別府を書く」における企画作品と同じく、著作者自身の希望によって登録されるものです。
三氏が全国各地を訪れ、その地域を題材に書かれた青空文庫収録作品を読み分析し、その上でその地を舞台に新たな創作を行うという一連のワークショップ企画は、別府ののちにも続けられ、これまでに富山・静岡・尾道・岡山・鴨川がその目的地となっています。
今回青空文庫に加わるのは、そのうちの尾道回。2018年12月8日に開催された「尾道を読む、尾道を書く。」(第10回おのみち文学三昧)をもとにして、『すばる』誌に「競作 尾道を書く」として発表された作品です。着実な積み重ねに感歎するとともに、再び作品を迎えられてたいへん嬉しく思います。ありがとうございます。

そして2日と3日は、作家による日本の古典作品の翻訳を新規公開いたします。大長篇や時代ものも得意とした尾崎士郎が晩年に訳筆を執った『現代語訳 平家物語』が2日の公開作品。そして3日に佐藤春夫訳による現代語訳が新着となる『方丈記』は、およそ24年前の1997年10月27日、その原文が青空文庫初の古典作品として収録されています。原文と翻訳の両方の響き合いが、青空文庫でも楽しめるようになりました。

こうした解釈や翻訳や創作を新たに重ねることで豊かになっていく文学空間について考えるとき、「テクスト共同体」という概念を思い出します。
この考え方はとりわけ古典作品に適用されるもので、すなわち作家や作品の固有名詞が指すのは、実際の本人やテクストそのもののみならず(ですらなく?)、むしろその人間やテクストを核として書写・編集・注釈・翻訳していった人々とその文章言説事物から成る相互に影響し合うテクストの集積である、とする見方です。
もちろん、現代であればそこに含まれるのはほかにも、読者の感想や思い出、作品から受けるイメージ、映画やゲームなどの翻案、本人の交友関係、ゆかりのある場所やモノ等々、ひいてはその履歴や社会的経験……青空文庫の活動もそのひとつに入るでしょう。
この本人やテクストの写像を作り出す共同体は、たとえばいわゆる〈文豪〉概念に言い換えてもいいでしょう。ある固有名詞を軸に集まる多種多様なテクストとその解釈と生産を続ける人々が、ひとつの共同体としてゆるやかに成立することで、さらなる参加者が生まれやすくなり、やがて再生産や再創造が繰り返され、テクスト共同体が生き延びていくことになります。それを強固にするのが〈文豪〉という概念の働きでもあるわけです。

先日、先に触れたワークショップの最新の鴨川回「鴨川を読む・書く 京都文学レジデンシーことはじめ」に聴衆としてオンライン参加しました。
そこでは、リストアップされた青空文庫収録の諸作品をもとに、作品内での鴨川という場所の使われ方やイメージが探られた上で、それをどう活用していかに新しい作品を、「鴨川」という場所の固有名詞と結びつく豊かなテクスト群に付け加えるかが模索されました。
たいへん刺激的な体験でしたが、これもまた、テクスト共同体の解釈と生産の現場そのものであるとも言えます。

青空文庫というデジタルアーカイヴが、それこそ〈文豪〉や〈土地〉など複数のテクスト共同体を絡み合わせながら活動させる媒体として機能することを、歓迎したいと思います。
さらなる作品と解釈が積まれていくことで、これからの将来、文学空間がどのように変容していくのかが、実に楽しみです。

さて、本年の青空文庫には、前年12月1日で予告しましたように、国内各種デジタルコンテンツの横断検索サイト「ジャパンサーチ」(https://jpsearch.go.jp/)とのメタデータ連携が控えています。
その前準備として、まずは今日付で、「青空文庫収録ファイルの取り扱い規準」内の記述と関連コンテンツにおけるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを「4.0 国際」へと更新します。
今後の進捗については、随時この「そらもよう」欄でもお知らせいたします。

そのほか、各種文書を現状に合わせて改訂しました。
「青空文庫FAQ」「青空文庫作業マニュアル」は、一部記述を修正追記しています。
「直面した課題」では、この2年のあいだの課題をまとめました。
また、長らく古いファイルのままだった「注記一覧」について、レイアウト等を見直し、一部説明文を現在の作業に合わせました。

青空文庫の作業をこつこつと続けるとともに、そのファイルがどのように活用されていくのかも自ら楽しみながら見守っておりますが、前年はVR空間内で青空文庫が読めるようになったり、小説を書くAIの訓練に用いられたり、音声合成用のコーパスに採り入れられたりと、技術の最前線でさまざまに使っていただいた1年でもありました。
今後も幅広くご利用頂けるよう、ガイドラインやデータ連携などを整備しつつ、社会におけるパブリック・ドメインの有効活用を推進して行ければと思っております。

ともに作業に励んでくださっているボランティアの皆様、いつも利用と支援をくださるユーザの皆様、今年もよろしくお願い申し上げます。
そして、2022年には青空文庫25周年が、すぐそこにあります。ちょっとした何かが、きっとあるはずです。ご期待ください。(U)


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