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4月3日に江見水蔭という人の「硯友社と文士劇」という作品が青空文庫に収録されます。明治時代の文学者たちの交友のようすが描かれているのですが、公開前のチェックのために読んだ時(すみません、自己紹介をしていませんでした。はじめまして。最近、点検チームに参加した大野裕と言います)、あまりに自分がこの時代のことについて無知であるのを残念に思いました。その時に調べたウェブサイトなどをリンク集のような形で残しておきます。
硯友社というのは、ウィキペディアによると、「明治期の文学結社」です。「結社」って、かっこいいですよね。私、子どものころから、秘密結社とか好きでした。青空文庫も「21世紀初頭の電子書庫結社」とか名乗るといいのに。硯友社については、その中心人物であった尾崎紅葉の「硯友社の沿革」のほかに、内田魯庵の「硯友社の勃興と道程」という文章が青空文庫に収録されています。水蔭の文章の最後に出てくる魯庵の『思ひ出す人々』というのがこれです。
著者の江見水蔭(ウィキペディア)は、すでに10作品が青空文庫に収録されています。近代デジタルライブラリーには版面の画像がかなりたくさんあります。
「硯友社と文士劇」は、文学者の仲間たちがチャンバラ劇をやるという話です。こう言ってはなんですが、かなりドリフみたいな感じだったようです。百科事典では、この公演のことが「文士劇」の始まりとして紹介されています。尾崎紅葉、江見水蔭のほかに、以下のような文学者が出演しました。
- 巖谷小波:青空文庫、ウィキペディア
- 石橋思案:青空文庫、ウィキペディア
- 広津柳浪:青空文庫、ウィキペディア
- 川上眉山:青空文庫、ウィキペディア
- 岡田虚心/岡田朝太郎:コトバンク
- 多田漁山人:PDD人名辞典
- 高階柳陰:検索にはいろいろとひっかかるのですが、リンクとしてどれを選んだらいいのか、わからなくて…
- 丸岡九華:コトバンク。ウィキペディアの硯友社の項では、丸山九華になっています。
- 露紫:山本露葉という文学者が同時代にいて、丸岡九華とつながりがあったみたいなので、この人のことかなあと思ったりします。*
と、ここらへんまでは、なんとなく調べがつきましたが、もう一人、「錦簔」という人は、なかなか答えが出なかったので、諦めました。** 文学が好きなかたなら、すぐ分かることなのかもしれません。
そのほか、こんな人たちの名前が出て来ます:杉浦重剛、坂東甚五郎(市川九字蔵)、武内桂舟、安川政次郎、田中煙亭、佐藤黄鶴、観世清廉。
ここに描かれているのは1890年(明治23年)のようすです。ラフカディオ・ハーンが日本に来た年。明治政府が「教育勅語」を出した年、帝国議会が始まった年だそうです。
それから125年後の2015年に生きる私たち。今から125年後の人たちのもとには、今日の私たちのどんな姿が記録として残っていて、どんなふうに私たちのことを見るのでしょうね。
* **:コメント欄にて、araki さんから、それぞれ石渡露紫および平田錦蓑のことだとお教えいただきました。araki さん、ありがとうございました。(2015/04/05 追記)
尾崎紅葉の「硯友社の沿革」にあるように、硯友社は、今でいう同人サークルです。
Q太郎さん、ありがとうございます。ショッカーを思い出して、つい「結社」という単語に反応してしまったのですが、話を同人誌とかコミケのほうに広げないと現代的な魅力にはつながらないということですね。ドリフも古いかなあ。
江見水蔭「硯友社側面史 纏まらぬ記憶」(「早稲田文学」240号(大正15年1月号))に「社中で門下生の一番先に出來たのは思案君で、平田錦蓑、石渡露紫、それから渡部乙羽の三氏などが、それで有つた。」とあった。
「早稲田文学」の画像データ
https://archive.org/stream/meijibungakukenk02wase#page/n32/
araki さん、ご指摘ありがとうございました。本文に注(*,**)を付け、文章の末尾に注記を追加しました。あらためてお礼を申し上げます。本文自体を書き直したほうが分かりやすいのだとは思うのですが、そうすると、どういう背景でコメントをいただいたのか分かりにくくなってしまうと思い、このようにしてみました。
青空文庫に「江見水蔭」の作品を最初に紹介したのは私の「探検実記 地中の秘密 29お穴様の探検」(公開済み
)であったと思う。それに伴い江見水蔭というバイタリティーのある文士らしからぬ生きざまを知り、いくつかの作品を入力してきた。水蔭は東京都品川区に住んでいたことから、品川区立品川歴史館では紹介展示をしたりしていた。この歴史館では「品川歴史館紀要」を刊行していて、その第5号から5回?にわたって『小説家「江見水蔭」』のことを学芸員の坂本道夫氏が書かれている。「硯友社」のことにも当然触れられている。生い立ちから始まるこの記事は一見に値すると思われる。
岡山勝美さん、コメントありがとうございます。精力的な入力、校正のおかげで、いろいろな作品に触れることができ、とても感謝しています。
品川区のサイトの江見を紹介するページにリンクを張ってみます。
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/page000014700/hpg000014664.htm
http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/page000021600/hpg000021518.htm