青空文庫に作品を登録する過程で、青空文庫の運営側にもその作品の底本を入手する必要ができてしまった。もっとわりきった作業の流れにしてしまえば、このリアルな紙の本を青空文庫側で入手する必要を極力避けることが出来たような気もするけど、富田さんはそのようないい加減なことはしなかった。しっかりと青空文庫側で点検する作業を怠らなかったのだ。だから、富田さんや他の受付担当者の家の本棚には青空文庫で使った本がどんどんと溜まってしまった。
昨年の夏、富田さんが亡くなった時、これらの本をどうしようかと言う話しになった。ごく普通に考えれば、トランクルームやレンタルスペースに預ける選択肢を選ぶと思う。実際にそのような考えに傾きつつあったところ、瀬戸内海の豊島(てしま)に住むサウダージ・ブックスの浅野さんが本を引き取ってくれることを申し出てくれたのだ。
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新規公開作品ではXHTML版、テキスト版ともに、ポー「マリー・ロジェエの怪事件」と吉川英治の「剣の四君子」シリーズ、「日本名婦伝」シリーズが上位を占めている。下の表では、各行の色付けを著者ごとにするように変えてみた。特徴がより見やすくなっただろうか。
既存作品ではXHTML版とテキスト版の15作品のうち、共にランクインしているのは、坂口安吾「二流の人」だけであり、ランキング内容はまるっきり異なっている。この違いはどこから来るのか、相変わらず分析できないでいる。
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執筆者:雪森
青空文庫の一読者だった私が、校正をするようになったのは、富田倫生さんが週刊エコノミストで、未校正の作品が溜まっていると話されているのを読んだからです。もうじき2年になります。やり始めて感じたのは、校正をすれば、その作品は早晩公開されます。誰かが校正してくれるまではいつまでも公開されない入力作業よりやりがいがあるということでした。 (more…)