『文豪ストレイドッグス』×青空文庫 勝手に応援#1
69

カテゴリー:,青空文庫 | 投稿者:OKUBO Yu | 投稿日:2012年12月3日 |

本日もしくは明日あたり発売のマンガ雑誌「月刊ヤングエース」1月号(角川書店刊)にて、『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)というマンガが新連載になりました。動画サイト「ニコニコ動画」にて『ゆっくり妖夢と本当はこわいクトゥルフ神話』というシリーズを投稿して一躍大人気、注目されている新進気鋭のクリエイター朝霧カフカ、期待の商業デビュー作品です。実は私個人は朝霧くんとひょんなことからちょっとしたご縁があるのですが、今回はそういうことが理由ではなく、普段青空文庫/aozorablogをお楽しみのみなさまにもきっとご興味を持っていただけるのではないかと思い、勝手にご紹介・応援しようと記事を立ててみました。

【※注意 ここから先、作品の設定・登場人物についてちょっとしたネタバレがあります】

 

タイトルに「文豪」というキーワードがあるように、この作品と日本近代文芸には密接な関係があります。お話としては、ヨコハマという現代風の街を舞台に、軍や警察から危険な仕事を請け負った「武装探偵社」という事件屋稼業の面々が軽妙なやりとりを絡ませつつその解決に取り組む、というものなのですが、いきなりぶっちゃけてしまうと、この作品の主要登場人物はみんな「文豪」の名をそのまま借りているのです。

たとえば、今回の第1話に関わってくるのは、中島敦太宰治国木田独歩の3人。青空文庫好きの方々には、もうおなじみの作家なのですが、これらのキャラが受け継いでいるのは名前だけではないのです。新連載のあおりに「ヨコハマ 異能力アクション開幕!!」とあるように、実は彼らは不思議な能力を持っていて、その中身がことごとく各作家の作風・作品に由来している――これはもちろん、日本近代文芸にとってひとつの翻案であるわけです。

第1話で明かされた能力に、虚ろで飄々とした青年である太宰治くんの『人間失格』というものがあるのですが、それを使って彼は触れたものの異能を無効化することができます。それはまるで、太宰作品の主人公が直接関わった人を無意識のままに巻き込みつつもろともダメにしてしまうような、そういった情景を彷彿とさせるものでもあります。

ほかにも第1話には顔見せとして探偵社のメンバーが他数人出てくるのですが、1人をのぞいて青空文庫に収録されている作家ばかり。近代文芸好きの人には、あの文豪がどういう特殊能力で翻案されるのか興味が湧いてくるでしょうし、まだ知らない作家に対しては、能力からどんな作品を書いていたのかな、と気にもなったりするでしょう。

そんな作品同士の往還を期待させてくれる新連載『文豪ストレイドッグス』、せっかくの近代文芸とのつながりを、それら作品をネット上で公開している立場からも積極的につかんでいこうということで、毎月ささやかな応援代わりに、その月の話に絡んできた文豪の紹介など勝手にしていこうかなと思っております。今回の記事では、登場人物と作品名のところに青空文庫の図書カードへリンクを貼っておきました。ご関心を持たれた方は、ぜひぜひ「月刊ヤングエース」・青空文庫収録作品ともどもお読みくださいませ!

ではでは朝霧くん、次話も楽しみにしておりま~す(ここだけ私信)。


1件のコメント »

  1. […] さて、文豪の名を持った登場人物たちがその元ネタに由来する異能力をもって活躍するマンガ『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)ですが、お話の設定は前回を読んで頂くこととして、第1話の一件から野良犬のようにさまよっていた中島敦くんは武装探偵社に入社させられることになったわけですが、ここはひとつ、マンガと元ネタをつなぐ試みとして、中島敦と〈さまようこと〉についてお話を聞いて頂きたいと存じます。 […]

RSS feed for comments on this post. TrackBack URI

Leave a comment

This work is licensed under a Creative Commons Attribution-Noncommercial-Share Alike 3.0 Unported License.
(c) 2019 aozorablog | powered by WordPress with Barecity