『文豪ストレイドッグス』×青空文庫 勝手に応援#2
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カテゴリー:,青空文庫 | 投稿者:OKUBO Yu | 投稿日:2012年12月28日 |

【※マンガ雑誌「月刊ヤングエース」は毎月4日前後が発売日なのですが今回はお正月を挟むので、だいたい今日(27日)か明日(28日)あたりに出るみたいです!】

月刊誌を読むのは少年時代以来なのでだいぶ久しぶりなのですが1月号・2月号と新連載が色々始まるので読み始めやすいですよね。

さて、文豪の名を持った登場人物たちがその元ネタに由来する異能力をもって活躍するマンガ『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)ですが、お話の設定は前回を読んで頂くこととして、第1話の一件から野良犬のようにさまよっていた中島敦くんは武装探偵社に入社させられることになったわけですが、ここはひとつ、マンガと元ネタをつなぐ試みとして、中島敦と〈さまようこと〉についてお話を聞いて頂きたいと存じます。

中島敦は作家としての活動期間が夭逝直前のたった1年しかない、いわゆる死後評価の文豪なのですが、彼の人生は転地に次ぐ転地、〈さまよい続ける〉のがその存在のありようと言っても良いくらいでした。33歳に亡くなるまで、その道行きをざっと書き出してみると

東京→埼玉→奈良→静岡→朝鮮半島、とここまでが転校してばかりの少年時代で、そのあと→東京→満州→別府→千葉→東京→横浜、と来て就職ししばしここで落ち着いたのち、ミクロネシア(当時は南洋と言いましたが)のパラオまで行って、亡くなる年に日本まで帰ってくる――

もちろん戦前・戦中期には日本の領土とされていた範囲が広かったわけですから、親が離縁や仕事のために移動すれば子はそれについていき、おのれの仕事とあらばそこへ行き、またおのれの病の療養のために良き地を探し、戦火が激しくなればそれを逃れてまた動く、というのはごく普通でありました(と、戦争を知らない私が言ったところで迫真性はないのですが)。

ですので当然その作品には、彼があちこち移って行った場所場所が反映されております。もっともわかりやすいのは、『文豪ストレイドッグス』の舞台の名と同じ〈横浜〉で、「かめれおん日記」「狼疾記」といった作品がゆかりの作品と言えましょう。とりわけ後者に描かれた心細い少年の姿は、自信がありすぎる「山月記」の李徴以上に『文豪――』の野良犬としての中島敦くんと重なるところがあるかもしれませんね。

他にも「虎狩」は少年の頃にいた朝鮮半島のお話ですし、彼の漢文世界を基調とした作品に次いで知られているのが、仕事で赴任した南洋を舞台とした作品群です。青空文庫にあるもので言えば、「南島譚」3作に連作随筆の「環礁」、そして何と言っても『宝島』『ジキルとハイド』を書いた作家R・L・スティーヴンソンを主人公とした「光と風と夢」。こちらでは、漢文ものとはまた違った〈視線〉を強く感じさせる作品が味わえます。

さて『文豪ストレイドッグス』第2話では、その中島敦くんが武装探偵社に籠城する爆弾魔と対峙することに。どうなりますやら、お話はぜひご購入の上お楽しみ下さいませ。


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