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どうも1ヶ月ぶりですこんにちは、月刊誌の発売タイミングがわからなくなって2月号を2度買ってしまったわたくしですが、今月も1日から4日あたりに発売になってるはずのマンガ雑誌「月刊ヤングエース」(角川書店刊)に連載中『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)にかこつけて、文豪の紹介なんぞしちゃいますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。
極力お話のお楽しみに関わる大事な部分はネタバレしないよう気を遣っているのですが、今話では武装探偵社の敵役として謎の危険人物“芥川”が登場致します(朝霧くんの動画をご覧の方には、太宰が“L”のようなキャラであるのと同様“張”のような人物と申し上げた方がわかりいいでしょうか)。これはもちろん芥川龍之介のことだと思われますが、芥川=危険な男という図式に疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。芥川といえば、教科書的には「鼻」「羅生門」「藪の中」「蜘蛛の糸」「芋粥」「地獄変」「杜子春」などといった古典に立脚した短編小説を思い浮かべたりもしましょう。
とはいえ、わたくしが個人的に芥川といって真っ先に思いつくのが“麻雀”で、菊池寛や久米正雄と一緒にじゃらじゃらやってる光景であります。というのも、当人が大正末期に新聞特派員として中国にしばし渡っており、どうもそこで覚えたのか、日本に麻雀を根付かせる連中のひとりとなったからなんです。元々異国的なものに興味があったのか、エキゾチシズムある怪しい雰囲気を子ども向けの作品に取り入れることがあったりして、その代表が「アグニの神」「魔術」といった作品です。また幻想怪奇ものも好きだったようで、エッセイ(「近頃の幽霊」など)で触れているし、短いながら翻訳(「バルタザアル」「春の心臓」「クラリモンド」など)もあったりで。さらに子ども向けといえば、わたくしの知る芥川という男はおとぎ話の世界をぶちこわすのが好きな輩でもあって、彼の描く「桃太郎」や「猿蟹合戦」は色々と皮肉的であるし、最終的に「歯車」のような作品をものす作家ですから、謎とは言わないまでも、当時の世間一般からしたらかなり怪しいのかもしれません。
しかし“危険”といって芥川で最も有名なのは、「侏儒の言葉」にある次の一節でしょうか。
危険思想とは常識を実行に移そうとする思想である。
キャラとしての“芥川”には、きっとこちらの言葉がふさわしいのでしょう。