91
こんにちはこんにちは先頃第2巻が発売され第1巻はなんと15万部を越えたとかいうマンガ雑誌「月刊ヤングエース」(角川書店刊)に連載中『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)から青空文庫への導線を引いてみようとする記事を今月も別にこれといって投稿を期待されないながらも書いてみますよー。
ヤングエースの本編では表紙になるとともに第2巻の続きとして敦くんと鏡花ちゃんがデートなんぞしておりますが、それはさておき第2巻の話と話のあいだ幕間的なページにはついに各登場人物のプロフィール設定が小出し公開になっているじゃありませんかっ!
各登場人物の誕生日は、元ネタの文豪に準拠していたり、はたまた好き嫌いには愛好家にはよく知られた文豪エピソードが織り込まれていたりするのですが、こういう文豪挿話と生没年月日の組み合わせから近代文芸好きがぴんと来るのは、例の記念日ですよね――そう、文豪の命日であるところの〈文学忌〉です。
これはあると〈文豪〉っていうイメージの強くなる要素のひとつでして、たいていはその人物の好きだったものとか作品とかに由来、ひねりがなければ雅号そのままだったりするのですが、たとえばこれまで『文豪ストレイドッグス』に登場しているキャラでいくと、こんな感じ。
- 太宰治 〈桜桃忌〉 6月19日 /作品「桜桃」から
- 芥川龍之介 〈河童忌〉 7月24日 /作品「河童」から
- 国木田独歩 〈独歩忌〉 6月23日 /そのまま
- 与謝野晶子 〈白桜忌〉 5月29日 /戒名および最後の歌集から
- 江戸川乱歩 〈石榴忌〉 7月28日 /作品「石榴」から
- 谷崎潤一郎 〈谷崎忌〉 7月30日 /そのまま
- 宮沢賢治 〈賢治忌〉 9月21日 /そのまま
- 福沢諭吉 〈雪池忌〉 2月3日 /語呂合わせの雅号から
- 樋口一葉 〈一葉忌〉 11月23日 /そのまま
- 立原道造 〈風信子忌〉 3月29日 /設計した建物の名前から
- 梶井基次郎 〈檸檬忌〉 3月24日 /作品「檸檬」から
- 泉鏡花 〈鏡花忌〉 9月7日 /そのまま
それって何だか能力名をつけるやり方とちょっと似ていたりするのですが、その日にはそれぞれの文豪を偲ぶ会がゆかりの地や記念館で営まれたり、この名称がそのままそれぞれの時期と合わさって季語になったりも致します。
青空文庫でも、実はこういう文学忌や特定の日には、それに合わせた作品公開を行うことがよくあります。入力者・校正者の希望からそうなったり、あるいは今年のこの日にはこれだ、と運営側で設定することもあったりするのですが、例を挙げると今年の河童忌の公開は芥川龍之介「本所両国」、2008年の桜桃忌には坂口安吾「太宰治情死考」といったように。わかりやすいのは毎年の終戦記念日や原爆記念日で、戦争や平和についての作品が公開されることが多いですね。2004年8月6日は峠三吉「原爆詩集」、翌年同日は原民喜「夏の花」などなど。(私個人の作業ではクリスマスにしばしば。)
しかしそういえば中島敦の文学忌の名称って、聞いたことないですね。偲ぶ会自体は行われているようなのですが、これといった名前はないのかもしれません。確かにちょっと付けづらそうではあるんですが。〈山月忌〉だとダジャレですしね。ちょっとかわいそう(?)。