地底から不思議へ:ルイス・キャロルの加筆をたどる 第5回
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カテゴリー: | 投稿者:OKUBO Yu | 投稿日:2015年2月10日 |

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【凡例】
修正:草稿→修正▼
削除:削除→▼
加筆:▲→加筆▼


▲→5 青虫の教え▼

▲→青虫とアリスは▼しばらくだまったまま目を合わせていたんだけど、とうとう青虫が口から水ぎせるを外して、▲→うつらうつら▼けだるそうに声をかけてきた。

「だれじゃ、おぬし▲→[#「おぬし」に傍点]▼。」と青虫。

こんなきっかけでは話も始めづらくって▲、→。▼アリスもどこかもじもじしながら答えてね、「あたくし――よくわかりませんの、今のところ――少なくとも今朝起きたときにはだれだったか[#「だったか」に傍点]わかってたのに、▲そのあと→それから▼あたくし、どうも何度か変わってしまったみたいで。」

「どういうことかの?」と青虫▲→はぴしゃり▼。「はっきりしてくれ!」

「だからはっきり[#「はっきり」に傍点]しませんの、あいにく!」とアリス。「あたくしがあたくしじゃないの、わかって?」

「わからん。」と青虫。

「あいにく、これ以上何とも言えませんの。」とていねいに受け答えするアリス。「だって自分でもよくぞんじませんし、▲ほんと→そもそも▼、1日でこんな色々な背たけになれば、頭もこんがらがってよ。」

「そうでもない。」と青虫。

「ふん、きっとあなたはまだあんまりおわかりでないのね。」とアリス。「でもあなただって▲ほら→▼、いずれさなぎになって▲、→――いつの日にかほら――▼そのあとちょうちょに変わったりしたら、そういうのやっぱり▲→あなたも▼ちょっとけったいに思えるものでしてよ、そう▲思わない→でしょう▼?」

「いささかも。」と青虫。

▲少なくとも→まあ、あなたの[#「あなたの」に傍点]お気持ちはちがうかもしれませんけど▼、」とアリス。「▲→少なくとも、▼あたくしには[#「あたくしには」に傍点]▲→とても▼けったいに思えるってこと。」

「おぬしとな▲[#「おぬしとな」に傍点]→▼!」と青虫は鼻でわらいながら、「そのおぬしは▲→[#「おぬしは」に傍点]▼だれなのじゃ。」

というわけで、また話はふりだしに。アリスは、青虫のそっけなすぎる[#「すぎる」に傍点]しゃべり口にちょっといらいらしてね、そこでむねをはって、いたけだかに言う、「まずはご自分[#「ご自分」に傍点]から名乗るのがすじとぞんじますけど?」

「なぜかね?」と青虫。

これはまたまたなやまし▲い。→くて、▼▲とっさ→何▼の言いわけも▲でき→思いつか▼ないアリス、青虫もひどく[#「ひどく」に傍点]気▲気げんをそこねて→いやな気分になって▼いるみたいなので、▲ぷいっと歩きさろうとし→そこでそっぽを向い▼たんだけど。

「そこへもどれ!」と青虫が後ろから声をかけてきてね▲、→。▼「大事なことを教えてやる!」

▲→たしかに▼悪くない話に思えたから、アリスはくるっとして引き返す。

「そう怒《おこ》るな。」と青虫。

「それだけ?」とアリスは、なるだけいらいらを飲みこむ。

「いや。」と青虫。

ほかにすることもないので、とりあえず待つことにすれば、そのうちきっと▲青虫→向こう▼も耳をかせるだけのことを話してくれる、そうアリスはふんだ。しばらくのあいだ、もの言わず▲水ぎせるを→▼ぷかぷか▲させ→やっ▼てたんだけど、やがてうでをほどいて、ふたたび口から▲きせる→水ぎせる▼を外して、ひとこと。「自分が変わったと申すのじゃな?」

▲そうですの→あいにくね▼。」とアリス。「前▲知っ→でき▼てたことが思い出せないの――▲→それに、身体も10分と同じ大きさを保ってられなくって!」
(改行)
「思い出せないのは、何[#「何」に傍点]なのだ。」と青虫。
(改行)
「その、▼
『がんばるミツバチ』を歌ってみた▲けど→のに▼、ぜんぜんちがってて!」▲→とアリスはとってもしょんぼりした声でお返事。▼

「ならばどうだ、『ウィリアムじいさん』は。」と青虫。

アリスは手を組んで、歌い出す▲。→――▼

▲1(改行)→▼ 「もう年なんだ、ウィリアムじいさん。」
わかもの言った、「頭は白髪《しらが》、
なのにいつでも、逆立ちばかり――
自分の年をわきまえろよ!」
▲2→▼
むすこに向かって、じいさん言った、
「わかいころは、ケガも[#「も」に傍点]おそれた、
だけどもともとバカだと気づき、
それからあとは、打ちこむのみよ。」
▲3→▼
「もう年なんだ、わかってくれよ、
どっから見ても太りすぎだよ、
なのに戸口でバク宙《ちゅう》なんて――
いったい何を考えてんだ?」
▲4→▼
しらがふりわけ、じいさん言った、
「わかいころには、しなやかじゃった、
このぬり薬のおかげでな――
ひと箱▲5→1▼シル▲、→――▼どうじゃふた箱▲。→?▼
▲5→▼
「もう年なんだ、はぐきも弱い、
やっとあぶらみ食えるくらいで、
ガチョウをほねごとまるまる平らげ――
こりゃいったいどうなってんだ?」
▲6→▼
「わかいころには、へりくつばかり、
ことあるごとに、にょうぼと言い合い、
おかげでアゴもきたえられてな[#「おかげでアゴもきたえられてな」に傍点]、
死ぬまでずっとそのままじゃろな。」
▲7→▼
「もう年なんだ、ふつうだったら、
目のほうだってしょぼしょぼのはず、
それでも鼻にウナギを立てて▲、→――▼
じいさんどうしてバカほど[#「バカほど」に傍点]きよう?」
▲8→▼
「3べん言えば、わかるじゃろ!
いいかいお前、いい気になるなよ、
こんな話はもうたくさんじゃ。
いなねば上からけりおとす!」

「正しくないのう。」と青虫。

「わり[#「わり」に傍点]とね、あいにく。」とアリスはおずおず。「ところどころちがってはいてよ。」

「初めから終わりまでまちがっておる。」と青虫はばっさり、そのあとしばし、しぃん。▲→
(改行)
さきに口をひらいたのは青虫。

「どれくらいの背たけになりたい?」とたずねてきてね。

「べつに、背たけにこだわりなんかなくって、」とあわててお返事するアリス、「ただ、ころころ変わるのはいただけなくてよ、やっぱり。」

▲→さっぱり[#「さっぱり」に傍点]。」と青虫。
(改行)
アリスは何にも言えない。生まれてこのかたこんなにきっぱりにべもないのははじめてで、自分でもだんだんはらが立ってきてね。
(改行)
「▼
今は足りておるのか?」と青虫。

「う~ん、もうちょっとばかり[#「ちょっとばかり」に傍点]大きいほうがいただけそう、といったところね。」とアリス。「7センチの背たけって、なってみるとみじめなものよ。」

「こりゃほどよい背たけなんじゃぞ!」と怒《おこ》った青虫が▲声をはりあげて→▼、しゃべるままに背すじをすっくと(ちょうど7センチのたけにね)。

「でも、こんなのしっくりこなくてよ!」と、弱ったアリスはみじめたらしく食いさが▲りながら→る。そうして▼、こう思う▲。→、▼「ここの生き物、こらえしょうってもの、ないのかしら!」

「そのうちしっくりこようて。」と青虫は口に水ぎせるをくわえて、またふかし始める。

今度もアリスは、相手がまた話す気になるまで▲じっとこらえ→ぐっと待っ▼てね▲、→。ものの▼数分すると青虫は口から水ぎせるを外して、▲→数度あくびもして身をゆすぶって。それから▼キノコから下りて、草むらへとくねくねと立ち入り、去りぎわのすて言葉。「▲かさのところ→こっちがわ▼▲→身体が▼のびる、▲えのところ→そっちがわ▼▲→身体が▼ちぢむ。」

▲→こっちって▼何[#「何」に傍点]の▲かさ→▼? ▲→そっちって▼何[#「何」に傍点]の▲え→▼?」と▲→ひとり▼思うアリス。

「キノコのじゃ。」と青虫、口に出てない言葉に返事したと思いきや、まばたきするともう目の前から消えていて。

アリスは少しのあいだキノコにうたがわしい目を向けていたんだけど、▲そのあともぎって、おそるおそるふたつにぽっきり、片手にえのところ、もう片手でかさを取って。→▼▲→そのどっちがどっちか見さだめようおとしてね、それでまったくの丸だったものだから、これはたいへんな難問《なんもん》だと気づいてね。とはいえとうとう両うでをとどくかぎりめいっぱいぐるりと回して、両手それぞれでちょびっとはしっこをもぎってね。▼▲→
(改行)
▲えでどうなる[#「どうなる」に傍点]んだっけ→それで今のはどっちがどっち▼?」と▲か言いながら→ひとりごと▼▲→、▼試しに▲→何が起きるかなと右手のかけらを▼ちょびっとかじってみると。またたくまもなく、いきなりアゴ▲→下▼にどんと何かがぶつかる。なんと足とごっつんこだ!

このいきなりの変わりように、たいへんおそれをなしたものの、▲→はげしく▼ちぢ▲むのはそこまで、→んでいくので▼▲キノコのかさもとりおとしてないから、まだまだあきらめたりしません→▼▲→ぐずぐずしてはいられないと思って、とっさにもうひとつのかけらを食べにかかる▼。アゴが足に▲→ぐっと▼くっついているから、口を開けるのもむりに近いのに、なんとかやりとげて、ついに▲キノコ→左手▼▲かさ→かけら▼▲ちょびっとかみちぎる→ちょっぴり飲みこむ▼

▼   *  *  *  *  *
→   *   *   *   *   *

     *   *   *   *
   *   *   *   *   *

「うん! ようやく頭が楽になってよ!」とアリスがはしゃいだのもつかのま、すぐにうろたえだしたのは、自分の肩《かた》がどこにも見▲え→つから▼なくなったから▲だ→▼▲→ながめおろして目にとびこんだのは、▼かぎりなくのびた首▲をながめおろすと→で▼、遠く下に広がる緑の葉の海から1本つき出ているみたい▲で→▼

「あの緑のしろものは、何だっていうの[#「いうの」に傍点]?」とアリス、「それにあたくしの肩は、どこに行ってて[#「て」に傍点]? それから、もう▲! →、▼なんてこと、あたくしの手は▲? →、▼どうやったらそんな迷子《まいご》に!」と口にしながら、あれこれ動かしてみたんだけど、どうもそのあとに起こったのは、▲→遠くの緑の▼葉っぱの▲ざわざわ→ゆらゆら▼だけ。▲→
(改行)
頭まで手を上げるのはむりそうなので、▼
そこで頭を手のところ▲→[#「ところ」に傍点]▼まで下ろしてみようとしてね、しかもうれしいことに、なんと首は▲あらゆる→どの▼向きへ▲→も▼やすやすと曲げられる、ヘビみたいに。そこで首を▲たくみ→見事▼にうねうねと曲げてみせ、葉っぱのなかへつっこんで初めて、自分がそれまで▲→下で▼うろついていた▲森の→▼木々のてっぺんにいる▲→だけなんだ▼と気づいたんだけど、せつな、しゃーっとおどかす声にさっと引っこめると。顔に飛びかかってくる大きなハト、したたかに羽を打ちつけてくる。

「ヘビめ!」とさけぶハト。

「あたくしヘビじゃなく[#「なく」に傍点]てよ!」とアリスもぷんすか。「よして!」

▲どこへ行っても→ヘビよ、やっぱり▼!」と▲→くりかえすハト▼▲やりきれないといったふうに→でもさっきよりもいきおいがなくてね▼▲ハトは→そのあと▼しくしく▲。→と、▼▲→どこへ行っても! ▼どうしようもないのよ!」

▲いわんとす→言って▼ること、ちっともぴんと来なくてよ。」とアリス。

「木の根元も行ってみた、土手にも行った、生けがきも行ってみたのに。」とハトはこっちそっちのけで続ける、「▲やつら→あいつら▼ヘビが! いつまでもあきたらない!」

ますますわからないアリスだけれど、▲→もう▼口を出してもしかたないので、終わるまでそのまま。

「まるで、そうやすやすとタマゴはかえさせんぞ、とじゃまされてるみたい▲!→、▼」とハト。「▲いつだって→なのに▼ヘビに▲ぴりぴりし→目を光らせ▼なくちゃいけなくて、▲昼も→▼夜も▲→昼も▼よ! あああ、この3週間、ひとねむりもしてないっていうのに!」

「おなやみお気の毒さま。」と▲→、▼アリスにも▲、→▼言わんとすることがわかってきた。

「だから森いちばんの高い木にのぼって、」と▲→ひきつづき▼声をうわずらせるハト、「やっとのがれられたと思っていた▲ところ→とたん▼▲来るなら→うねうね▼空から▲おちてくるしかないってのに→しつこく来るじゃないのよ▼! うげっ! ヘビ!」

「でも、あたくしヘビじゃなく[#「なく」に傍点]てよ▲。→、だから!▼」とアリス。「あたくし――あたくし――」

「ふん! 何だ[#「何だ」に傍点]っていうの?」とハト。「何かごまかそうとしてんじゃない▲の→だろうね!▼。」

「あたし――女の子だもん。」と言いつつ、どこかしっくりこないアリス、▲これまで→その日▼いく度となくのびちぢみしたのを思い出してしまってね。

「都合のいい言いのがれね!」と▲→さげすみきったぐあいの▼ハト。「生まれてこのかたおおぜい▲→女の子を▼見てきたけれど、▲あんたみたく→そんな▼首の長いのはひとっこひとり[#「ひとり」に傍点]いなかったね! ▲そうよ、→いやいや! ▼あんたはヘビ、▲そんなこと[#「そんなこと」に傍点]はお見通しなんだから! →口ごたえしてもむだよ。▼どうせ次には、タマゴなんて味わったことないって言いくさ▲→りやが▼るんだろ!」

「タマゴくらい味わったことあってよ[#「あってよ」に傍点]、ええ。」と言うアリスはほんとに正直もの、「でも、▲→女の子もヘビといっしょでちゃんとタマゴを食べてよ、ほら。」

「信じられないね、」とハト、「そうだとしても、そんならやっぱり、ヘビのなかまじゃないか。それだけは言えるね。」

これにはアリスも考えがおよばず、なのでものの数分はだんまりで、それがハトにだめおしするすきをやってしまい、「あんたはタマゴをさがしてる、そんなこと[#「そんなこと」に傍点]はお見通しなんだから。こっちからしたら、女の子だろうとヘビだろうと大してちがいないさね!」

「あたくし[#「あたくし」に傍点]には大ちがいよ。」とかっとなったアリス、「それにあいにくタマゴはご入り用でないの。そうだとしてもなんで▼わざわざあなたの▲→[#「あなたの」に傍点]▼ものなんか▲いただくもんですか→▼▲→それに▼生《なま》なんていただけなくってよ。」

「ふん、なら、しっしっ!」と▲→むすっとしながら▼ハトはまた自分の巣におさまる。アリスはアリスで、木々のあいだ、なるだけ身をかがめたんだけど、首が枝にからまるばっかり▲→なの▼で、▲何度も→そのたびごとに▼とちゅうでほどくはめに。▲そのとき→しばらくして▼ふと、▲手ににぎったままだった→▼キノコのかけらを▲→手ににぎったままと▼思い出してね、あらためてそうろっとあつかいながら、まずはひとつをかじり、さらにもうひとつ、のびたりちぢんだりしながら、ようやくいつもの▲大きさ→背たけ▼におさまることができた。

かなりひさびさ▲の元の→▼背たけ▲な→が元に近くなった▼ので、初めはとっぴに思えたけど、▲ものの→▼数分もするとしっくり▲くるくる→きて▼、そしてれいのごとくひとりごとの始まり。「▲よし→ふう▼! これで半分はかなったわけね! ほんとわけわかんなくてよ、ころころ変わるなんて! 次から次へと、何になっていくのか読めないし! とはいっても、▲また→▼元の背たけに▲なれ→もどれ▼たんだから。お次は、あのきらびやかなお庭に入ることね――どうやってやったもの▲→[#「もの」に傍点]▼かしら?」▲→と言いながら、ふと出たのがひらけたところ、そこに1メートル20くらいの小屋が。「どなたのおうちにしても、」と考えるアリス、「この[#「この」に傍点]大きさで顔を合わせるのはよした方がよさそう。だって、向こうさまこしをぬかしてしまいかねなくてよ!」そこでまた右手のかけらをかじりだして、とりあえずおうちに近づく前に自分の背たけを23センチに落としたんだ。▼


第5回訳者コメント

■元の表現が拙く訳しづらいなあと思っているところがちゃんと直っていたりしていて、キャロルの書き手としての意識を感じるなど。あるいは「わかりづらい」ということが「わかりやすく」なったと言うべきでしょうか。

■この「青虫」と、Le Petit Princeの「王子」を似たものと考える人もいるらしいですが、むしろ正反対かと。青虫はどちらかというと、見た目は子どもで、言い方(というか態度)が大人っぽい(しっかりしている)ようでいて、やっぱり中身も子どもだってこと。王子は、見た目が子どもで、態度も言い方も子どもっぽいんだけど、中身がしっかりしている、っていう。

■ここから先、次の章からしばらく、元の「地底」にはなかったシーンの加筆。文字が真っ青になりますがあしからず。


おまけ(アリス関連本あれこれ)

■先日出た「ユリイカ」のアリス特集、むせかえる〈20世紀末サブカルぽさ〉に、私は全然ついていけませんでした。佐々木睦さんの「漢字の国のアリス」だけは今風っぽくて私にも楽しめました。そういえば、92年の特集のときはどこか当時の〈新英文学〉の勢いがあって良かったですね。

■同じサブカルでも、Read-Baldrey & Leech, Everything Alice, 2011みたいなハンドメイドな感じの方が今っぽい。クッキングとかクラフトとか、手作りで楽しむためのレシピとか型紙とかをまとめた本ですが、〈アリス〉については頭で遊ぶよりも、こういう〈手〉で楽しむっていうやり方にやっぱり共感します。Sunshine, All Things Alice, 2004は商品としてのアートワークや文化をおもちゃ箱的に集めたものだったので、まだ前世紀っぽいですが、10年代に入ると変わってくるのかな、なんて思いました。

■最近Manga出版社のSeven Seasが出したSison画のアリス本(2014)が話題ですが、Sisonさんどんどん絵が巧くなってますね。Seven Seasのマンガを色々読んでいた身としてはなんだか嬉しいばかり。肝心の中身は、テニエル以外にも既存の映像作品を色々参考にしたことが伺えます。

■アメコミのGrimm Fairy Talesシリーズから出たGregory, Gill & Embury, Alice in Wonderland, 2013も読みましたが、アメリカのおひとは本当にエロとグロが好きなんだなと。グラマーなアリスに、クリーチャーとなった青虫とかチェシャ猫とか帽子屋とかが襲いかかってきて血がぶしゃーとかするわけですよ。ビキニアーマーのアリスも、実にメリケンっぽいし、最終的に巨人化したアリスが巨大青虫をぶんなぐるあたりもある意味面白い。

■そういうアメリカもあれば、エリザベス・シューエルの遺著が出るのもまた米国なわけで。Sewell, Lewis Carroll: Voices from France, 2008は北米ルイス・キャロル協会の刊行物で、手に入れづらいですが、しっかりしたアリス本を読みたい向きにはいいかも。今年、日本でもしっかりした研究書を誰か出すんでしょうか、出るといいですけれども。というかLeach, In the Shadow of the Dreamchild, 1999はそろそろ邦訳が欲しいところ(原著は今年新装版が出るみたい)。

■軽い読み物といえば、手紙の文化史とも言うべきGarfield, To the Letter, 2013にもキャロルの話がちらり。それからMenges, Alice Illustrated, 2012は特に20世紀初めのアリス挿絵をまとめたお手軽な画集で、解説などはあまりなくて物足りないですが、絵を手元でちらちら見る分にはこれで十分。Benjamin, Alice I Have Been, 2011はモデルの方のアリス・リデルを主人公にした小説で、YAものなので読みやすい(ので、これはそのうち邦訳も出るかしら)。

■別に網羅的に読んでいるわけでもないので、本の紹介はこのあたりでおしまい。


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