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僕の映画の師匠であった髙林陽一監督が祇園祭の始まりを待っていたかのように亡くなりました。正確には僕の映画の師匠のさらに師匠、大師匠にあたる存在です。映画の学校を卒業して、すぐに高林監督の『魂遊び〜彷徨〜』という自主映画の助監督をさせてもらいました。一時期、VHSで発売されていたのですが、いまは中古で高値がついています。僕が数年前にインタビューした記事の中でも「自分でも買わへんわな」というくらいに高くなっています。この映画は京都に住む顔師(芸妓の白化粧をする人)である奥山恵介を追ったもの。ただ、ドキュメンタリーではなく、あくまでフィクションで、彼が作っていた人形が主演する場面があったり、ドラマが始まったり、奔放なつくりかたをした映画でした。
この映画ができたとき、高林監督は「やりたいことはやり尽くした」と感じたそうです。そして、実際に20年近く映画を撮らずに沈黙することになります。「撮りたいものもないのに撮れというのは、酷なことだよ」と言う監督に純粋な映画人としての側面と奥様を亡くされてひとり暮らしをしている老監督の寂しさのようなものを感じました。
一緒にモナコ映画祭へもっていって監督賞を受賞した作品の予告編。
高林監督への僕のインタビュー
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