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どうもいつもより遅れましてこんにちは、マンガ雑誌「月刊ヤングエース」(角川書店刊)に好評連載中『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ/作画:春河35)の応援を今月は忘れていたわけではございませんよ、少しばかり忙しかっただけなのです。
今月は太宰との〈あのエピソード〉がtwitterで広まってしまった詩人・中原中也を元にしたキャラが登場、2巻の太宰のキャラ紹介では先行して「嫌いなもの:中原中也」と書かれておりましたが、しかしどうやら関係性は史実とはちょっぴり違うようなので気になるお方、詳しくは発売中のヤングエース本誌まで!
と、一通りの今月号の紹介をしたあとで何ですが、酒席で中原に何の花が好きか詰め寄られた太宰が泣きながら桃の花と答えて蔑まれるというあのtwitter上で披露されたエピソード、元々は檀一雄という彼らの友人でもある作家がエッセイに書き残したものです。文豪たちが、お互いにお互いのことを随筆で触れる、ということは少なくなかったようで、青空文庫のなかにも色々とそういうものがあったりいたします。
でも、なかなかそういうものって、元々知っていないと見つけづらそうですよね。しかしそこはそれ、電子テクストの利便性を用いてみると、ちょこっと検索するだけで手が届いたりもするのです。
たとえば、青空文庫のトップページ右上には、検索窓があります。これを使うと、青空文庫を全文検索できます。
なので、ここに「中原中也」と入れてエンターキーを押してみると、当たり前のことなのですが、青空文庫にある中原中也作品がたくさんリストアップされます。でも、全文検索なのでそれだけではなく、本文で「中原中也」という名前の出てくる作品もヒットしてくるんですね。わたくしのブラウザで一覧を見ていくと、グーグル検索の2枚目3枚目あたりに、著者名として坂口安吾の名前がちらほら出だします。
ということは、安吾と中也、ふたりは交流があったのかな、と思って、検索ワードを「坂口安吾+中原中也」に変えてみると……出るわ出るわ、エッセイの数々。出てきたものをざっと書き出すと、
と、いうふうで、読んでみるとやはりふたりは酒の席で色々あった模様。最初のふたつは話が共通していて、安吾と中也が今でいう〈メンヘラ〉の女給さん(17歳)を惚れた惚れられたと取り合ったなんて挿話で、中也のシャドーボクシングがとてもかわいい萌え要素のあったりのもの、あと最後の「明日は天気になれ」では、中也はコンニャクとナマコが嫌いで呪文を唱えていたというエピソードがあいだに少し登場。
こういうのを探して拾って読んでいくだけで、休日の午後がひとつつぶれちゃったりするのですが、楽しいからいいですよね。みなさんもお気に入りの作家(の組合せ)で検索して、こいつがあいつのこと語った文章ないかな、と見つけてみるのも一興ですよ。