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『もうひとつの「リフローは難しい」、あるいは期待するリフロー』では、「盗まれた手紙」を用いて扉のエピグラムの表示について、天からの字下げ、エピグラムのブロックの字詰めをビューアが自動計算してくれれば、違和感の無いリフローのレイアウトになるということを説明しました。
青空文庫公開の佐々木直次郎訳のエドガー・アラン・ポー作品のうち、7つの作品で扉にエピグラムが載っています。みな、2つの句からなていて、第2句はたいていそのエピグラムの発言者となっています。次の表は、4つの行長について、だいたいこの数字であれば、違和感のないレイアウトになると思える字下げ、字詰め(および下マージン)をあげてあります。
参照のために、底本からのスキャナ画像をあげておきます。左から「盗まれた手紙」「アッシャー家の崩壊」「ウィリアム・ウィルソン」「メールストロムの旋渦」「黄金虫」「モルグ街の殺人事件」「落穴と振子」。
1例だけ、AIR草紙でのシミュレートの例を追加であげておきます。
「アッシャー家の崩壊」の例で、天からの字下げだと字下げ数が非常に大きいものです。これを天からの字下げで注記すると、行長が短くなった時には、地に1字だけ表示される奇妙なレイアウトになってしまいます。行長が短くなった時に、天からの字下げ、字詰めが自動調整される期待されるリフローが普通になるまでは、天からの字下げを注記するのはためらわれます。やはり、現状のように、地からの字上げで指定するほうが、若干のレイアウトの崩れは出るものの、ベターといえます。
なんだか、現状肯定の結論になってしまったようですが、やっぱり「リフローは難しい」ということで、ひとまず終えることにします。