2013年/02月の青空文庫のアクセスランキング500のアクセス増の話題は二つ。一つは吉川英治作品の人気の高さ、もう一つは「ビブリオ古書店の事件手帖」効果。2月公開の「宮本武蔵」は新規公開作品の1日当たりアクセス数の上位を独占しているし、テキスト版では1月公開の作品へのアクセスも継続している。

フジテレビの連続ドラマ「ビブリオ古書店の事件手帖」は、第4話に宮沢賢治「春と修羅」、第6話に太宰治『晩年』が取り上げられていたため、その効果が見られる。

■青空文庫 ’12/12 – ’13/01XHTML版新規公開作品一日当たりアクセス数ランキング
’13/02月XHTML版の新規公開作品のうち、500位まで入った作品は23作品であった。このうち吉川英治作品が９作品ですべてベストテン入りである。『私本太平記』が終わり、『宮本武蔵』に入っている。続いて、中谷宇吉郎、喜田貞吉、大倉燁子。

■青空文庫 ’13/01 – ’13/02 XHTML版 アクセス増率ランキング
1位は下村湖人「次郎物語 01 第一部」。なぜ「次郎物語」と思い検索してみると、次郎物語に登場する建物のモデルであった小金井市浴恩館公園内の「空林荘」が2/23に全焼したという記事が載っていた。2位は太宰治『「晩年」に就いて』。これは、フジテレビの「ビブリア古書堂の事件手帖」　第６話の効果。『晩年』の初版本でアンカット本がテーマになっていた。『「晩年」に就いて』には「思い出」や「ロマネスク」が太宰自身が読んでみたらと勧めているが、「思い出」や「ロマネスク」は残念ながらアクセス数は増えてはいない。第３位は宮沢賢治『春と修羅』、こちらも「ビブリア古書堂の事件手帖」効果であろう（第４話）。14位に『春と修羅　第二集』も入っている。

珍しいところでは泉鏡花『婦系図』、『天守物語』がランクに入っている。毎回のことだが、こちらは、何がきっかけなのか、分からない。また、宮沢賢治「黄いろのトマト」は、初めて目にする作品名だ。

■青空文庫 ’13/01 – ’13/02 XHTML単純アクセス増ランキング
単純アクセス増のランキングも、アクセス増率のランキングと同じ傾向。

■青空文庫 ’13/01 – ’13/02 テキスト版新規公開作品一日当たりアクセス数ランキング
2月新規公開作品のうち、500位内のランキングに入ったのは16作品。XHTML版の23作品と比べて少ないが、吉川英治作品は「私本太平記 12 湊川帖」が加わって10点。吉川英治作品の人気ぶりがうかがえる。下のリストからもれたのは、中谷宇吉郎「『西遊記』の夢」。

■青空文庫 ’13/01 – ’13/02　テキスト版 アクセス増率ランキング
アクセス増率のランキングでは、XHTML版同様、「ビブリア古書堂の事件手帖」効果が見られるが、1月後半の公開の吉川英治作品と柳田国男作品がランクインしているのが特徴。読みやすいは言えないゲーテ『ファウスト』が、先月に続いて、ランクインしているのも、驚きだ。

■青空文庫 ’13/01 – ’13/02 テキスト版 単純アクセス増ランキング
テキスト版単純アクセス増ランキングは、XHTML版同様、アクセス率増ランキングとほぼ同じ作品がランクインしている。定番作品の中では、夢野久作「ドグラ・マグラ」が唯一ランクイン。

■アクセス数合計の推移
記録を積み重ねてきて、12ヶ月分まで来たけれども、今後桁数が増えて、もっと横幅が広くなるだろうし、デザイン的にちょっと格好悪いかなということで、今月からアクセス数合計の推移を縦に長くする工夫をしてみた。これは、ビジネスの世界では、対前年同月比というのが、重要な指標となっているらしいというのに気づいたことも影響している。

さて、’13/02月のXHTML版のアクセス数はXHTML版488,560、テキスト版652,744、合計1,141,304。1月1日のパブリックドメインデーを含む前月と比べると減少しているが、対前年同月比は直近6ヶ月では2番目に大きい。iBookStoreでも青空文庫由来の作品の公開が始まった3月はどうなるであろうか。