吉川英治作品の新規公開が少なくなったので、アクセス増もやや落ち着いた印象を受ける。映画・テレビ作品の上映に伴う関連作品のアクセス増、社会的な事件に関連してのアクセス増があり、もう一方では原因のつかめないアクセス増もある。

前者は、例えば高畑勲監督作品の映画「かぐや姫の物語」の上映に伴う和田万吉「竹取物語」、山本太郎参議院議員の直訴事件に関連する田中正造「直訴状」のアクセス増である。

後者は菊池寛「アラビヤンナイト」、島崎藤村「夜明け前」のアクセス増である。こちらは、いつものように筆者の狭い見聞や検索で原因が分からないというだけで、なんらかのきっかけはあるのだろう。

■青空文庫 ’13/10 – ’13/11 XHTML版新規公開作品一日当たりアクセス数(200超過アクセス/日)ランキング

’13/11月XHTML版の新規公開作品のうち、500位まで入った作品は16作品で、前月の17作品と同程度であった。新規公開作品数は45作品であったから、約35%である。

今月の新規公開作品の200超アクセス/日の指数では、1位吉川英治「濞かみ浪人」、2位同「魚紋」、4位「折々の記」と吉川英治作品の人気が続いている。4位は斎藤茂吉「仏法僧鳥」。フリーマンの「予謀殺人」が8位になっている。

■青空文庫 ’13/10 – ’13/11 XHTML版 アクセス増率ランキング

XHTML版アクセス増率1位は坂口安吾「夜長姫と耳男」。映画になったり、アニメで放映されたりということは、検索できなかったが、Wikipediaによれば、「魅力的な女性キャラの多い安吾小説の中でも夜長姫は五本の指に入る萌えキャラである」とあった。

10月31日に山本太郎参議院議員の直訴事件があったので、田中正造「直訴状」が7位になっている。同じ田中正造「亡国に至るを知らざれば之即ち亡国の儀に付質問」は3位。

高畑勲監督作品の映画「かぐや姫の物語」が11月23日にロードショー公開されたので、和田万吉「竹取物語」がランク外から185位にランクイン。ほかに芥川竜之介「軍艦金剛航海記」、ディケンズ「世界怪談名作集 06 信号手」、坂口安吾「風博士」がランク外からのランクインである。

■青空文庫 ’13/10 – ’13/11 テキスト版新規公開作品一日当たりアクセス数(200超過アクセス/日)ランキング

’13/11月XHTML版の新規公開作品のうち、500位まで入った作品は13作品と少ない。1位吉川英治「濞かみ浪人」、2位同「魚紋」、3位「折々の記」とXHTML版と同様に吉川英治作品の人気が続いている。

11月25公開の斎藤茂吉「仏法僧鳥」は、テキスト版ではランクインしていない。フリーマンの「予謀殺人」は4位である。

■青空文庫 ’13/10 – ’13/11　テキスト版 アクセス増率ランキング

テキスト版アクセス増率ランキングでは1位は徳冨蘆花「小説　不如帰」。NHK-TV大河ドラマ「八重の桜」で徳冨蘆花（徳富健次郎）が出ていたためであろう。2位は和田万吉「竹取物語」、こちらは高畑勲監督作品映画「かぐや姫の物語」の上映の影響だろう。「竹取物語」の公開は2011年5月8日と比較的最近である。底本となっている復刻版日本兒童文庫、名著普及会からの作品は、同じ底本の「今昔物語」「湯槽の朝」しかないから、「かぐや姫の物語」の制作に合わせてのことだったのだろうか。

テキスト版のアクセス増の特徴は菊池寛「アラビヤンナイト」と島崎藤村「夜明け前」がアクセス増率ランキングに入っていることだろう。「アラビヤンナイト」は「01 一、アラジンとふしぎなランプ」、「03 三、アリ・ババと四十人のどろぼう」、「04 四、船乗シンドバッド」、「夜明け前」は「03 第二部上」「04 第二部下」が入っていることだろう

■アクセス数合計の推移

’13/11月のアクセス数はXHTML版452,255、テキスト版363,335、合計815,859。対前月比でXHTML版90%、テキスト版93%、合計91%の減少である。

対前年同月比では、XHTML版95%、テキスト版65%、合計79%で、こちらも減少である。