2012年-2013年の年間アクセス増分析を行うにあたって、今回はまず2013年新規公開作品のXHTML版・テキスト版の一日あたりのアクセス数のランキングを紹介する。

2013年度新規公開作品で500位ランキングに入ったのはXHTML版で31作品、テキスト版で56作品と、2011年度、2012年度と比べて圧倒的に多い（2011年度：XHTML版8作品、テキスト版9作品、2011年度：XHTML版10作品、テキスト版10作品）。2013年度の新規公開作品数は646であったから、500位までのランクイン率はXHTML版4.8%、テキスト版8.7%となり、こちらの割合は2011年度、2012年度と比べてもはるかに高い（2011年度：1137作品公開、ランクイン率XHTML版0.7%、テキスト版0.8%、2012年度：730作品公開、ランクイン率XHTML版1.4%、テキスト版1.4%）

ランキング表を見ていただければ一目で分かるが、これは吉川英治作品の人気が高かったことによる。ランキングから言えば、2013年は吉川英治イヤーと言える。

■青空文庫2013年度新規公開作品 XHTML版一日当たりアクセス数ランキング
1位は柳田国男「遠野物語」。1月1日公開で年間を通じてアクセスされたことを示している。2位は吉川英治「三国志 01 序」、3位同「三国志 02 桃園の巻」。2012年では第3位の与謝野晶子が最遅の3月31日公開だったが、2013年の最遅公開は3位の吉川英治「三国志 02 桃園の巻」の9月9日公開で、三国志の人気の高さを示している。
8月16日に亡くなられた富田倫生さんの「本の未来」は、翌日公開で第7位となっている。
10位夏目漱石「それから」は新字新仮名版。8月30日の公開だから、これも人気が高い。
少し驚いたのは7月15日公開で13位の太安万侶・稗田阿礼著、武田祐吉校註「古事記 02 校註　古事記」。
室生犀星は14位「抒情小曲集 04 抒情小曲集」、中谷宇吉郎は20位「雪」。

ランクに入っている31作品中18作品が吉川英治作品で2位から6位までは「三国志」「私本太平記」「宮本武蔵」の序および第1巻である。シリーズ外の作品では9位「黒田如水」、17位「大谷刑部」が目立つ。

■青空文庫2013年度新規公開作品 テキスト版一日当たりアクセス数ランキング
2013年度新規公開作品でテキスト版500位ランキングに入ったのは56作品で非常に多い。56作品のうち49作品（88%）が吉川英治作品であり、吉川英治の人気の高さが如実に分かる。
1～44位のうち、第3位の柳田国男「遠野物語」を除いて吉川英治作品であり、上位は「三国志」シリーズで、ほぼ巻数順と同じである。それに続くのが「宮本武蔵」シリーズ、「私本太平記」シリーズ、「鳴門秘帖」シリーズ。
単独作品では24位に「黒田如水」、36位に「大谷刑部」、39位に「柳生月影抄」が入っている。
柳田国男作品では、3位「遠野物語」が一日あたりのアクセス数では1位を吉川英治「三国志 01 序」に譲ったもののアクセス数では、ダントツ。他の作品では「日本の伝説」「家を持つといふこと」「どら猫観察記」「こども風土記」が45位～51位に集中している。
吉川英治、柳田国男以外では室生犀星の「性に眼覚める頃」が49位、「或る少女の死まで」が55位。