XHTML版とテキスト版では、アクセスされる作品がかなり異なるということは、これまでも何回も書いているけれども、2012年-2013年のアクセス増率でも同じである。
その中で、堀辰雄「風立ちぬ」「菜穂子」、織田 作之助「夫婦善哉」が共通してランクインしているのは、映画・テレビの影響である。テキスト版の「レ・ミゼラブル」も同じく映画の影響だが、こうした長編はXHTML版ではちょっと読みづらいのであろう。


■青空文庫 2012 – 2013年度 XHTML版 アクセス増率ランキング
2012年-2013年のアクセス増率ではXHTML版のトップは牧野信一「地球儀」が46.79でダントツの1位。センター試験の国語の問題に取り上げられたことで1月から2月にかけて、驚くほどのアクセスがあったのであった。
2位はゲーテ「ファウスト」3.28、3位堀辰雄「菜穂子」2.97、4位同「風立ちぬ」2.85、5位坂口 安吾「戦争と一人の女」。
ゲーテ「ファウスト」は2012/12/24日の年末に近い公開であったから、アクセス増率が高いのはある意味で妥当だが、それでも意外にアクセスされている。
2012年リスト外では他に新美南吉「デンデンムシノ　カナシミ」、日本国「大日本帝国憲法」、太宰治「十二月八日」がランクインした。

■青空文庫 2012年-2013年度 テキスト版 アクセス増率ランキング
テキスト版のアクセス率増加では、トップの堀辰雄「風立ちぬ」は12.76で2位以降を引き離している。2位はゲーテ「ファウスト」、XHTML版とテキスト版とでは、ランキングの作品がかなり異なるなかで、共に2位というのはちょっと特殊。
「レ・ミゼラブル」は、3位に豊島与志雄「レ・ミゼラブル 02 改訳について」、4位同「レ・ミゼラブル 01 序」があるほか、ユーゴ「レ・ミゼラブル」は6、7、8、10、11、12位を占めており、テキスト版では「レ・ミゼラブル」がアクセル増率での特徴ということになる。
13～15位の北大路魯山人作品は、2012年11月、12月の公開であったためであるが、安定した人気があることを示している。

■アクセス数合計の推移
2013年の年間アクセス数はXHTML版が554万4716件、テキスト版が454万7274件。前年比でXHTML版104.3％、テキスト版104.0％の微増である（テキスト版は月次では8月から減少傾向）。
下記の表では、アクセス数ランキングが掲載されている2009年度からのアクセス数推移と各前年比を示した。2013年度はXHTML版、テキスト版とも微増で、アクセス増の勢いは減っている。これは、Kobo、Kindle、iBooks、GooglePlayBooks、SonyBooksなどで青空文庫由来の無料作品が読めるようになっていることが原因だろう。