荷風「雨瀟瀟」について、もしくはうらみぶし
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カテゴリー:未分類 | 投稿者:米田 | 投稿日:2012年7月19日 |

こないだ岩波文庫の「雨瀟瀟・雪解 他七篇」が再版(? とは書かれてないけどおそらく)されて、というのはおそらくなんか見てみると、1987年という僕の生まれた記念すべき年その時に出版された版と、版を重ねた2012年の版面を見比べてみると微妙に版面が違う気がするので、おそらく1987年の時点ではきっとデジタルでなかったか、デジタルだったとしても生煮えのデジタル版面だった為に、テキストはそのままにレイアウトを微妙に変えたバージョンを改めて重版したのだというのが僕の読みなのですが、ともかく。

まずこの岩波文庫版の「雨瀟瀟・雪解 他七篇」を古本屋で買ったのが最初で、それは忘れもしない神保町に行った時に、岩波文庫のラインナップのおそろしく揃った(プラス、なんか文庫は何でもおそろしく揃っていた、旺文社とかいろいろ)古本屋で買ったんですけど、なんとその次に適当に入った古本屋でも同じ本を見つけてしまって、しかも半額以下だったという。
だから「そこで買ってればなあ……」と思いつつ、今(一年前くらいのその頃)はもうどこ行っても、版切れとは言ってないものの新刊として見つかることのなかったその本を手に入れたことにそこそこ満足していたある日、近所の何でもない本屋(何でもないっつっちゃアレだけど、LIBRO で)を見たら、なんていうか新刊のラインナップの横にこの本があったのを見つけたという。
腹立ちつつ「じゃあ別に前買ったのはなんかヤケがひどいし、自分が生まれ育ったのと同じ時間が流れてるわけだし」と思ってその2012エディションの「雨瀟瀟・雪解 他七篇」を買ったんですけど。都合二冊同じ本が手元にあるって、僕はそんな粋狂なことはそうそうやらないんですけど、この本に関してはなぜか二つ欲しいなと思って。
そんな時に行ったのが、前の前にあった「e読書ラボ見学」のオフであり、そこで会ったのがミスター入力者の門田氏なんですけど。
青空文庫の人々に会えると思って、ワクワクしながらこの1987エディションの「雨瀟瀟・雪解 他七篇」を持っていったんですけど、というのはそれを校正してもらうために校正者に渡して、私が2012エディションの「雨瀟瀟・雪解 他七篇」を以て入力に当ろう、という心積りだったんですけれども。
果して門田氏にその旨お話したら、「いいですよ」っていうから、僕が入力をやってかの人が校正をやるという黙契が(黙でもないけど動き出してない契約が)成立したわけなんですけれども。
というか門田氏はその席で「僕はもし本があればどんどん校正はやりたく、ただ海外にいるという身であるがゆえに本の入手という面において限りがある為に二の足を踏んでいるというただそれだけのことだ」という旨のことをおっしゃっていた。
その時はまさかその胸中に世にも恐ろしい画期的な校正法を抱えているとは夢にも思っていなかった。
それから今日まで幾月が経ったわけですけれども。
その後「雨瀟瀟・雪解 他七篇」(私的優先度としては「雨瀟瀟」の次に「勲章」、「雪解」をやったら「狐」と「監獄署の裏」、その他はテキトー)の入力に対して僕が手をこまぬいていたわけでない、というのは、この作品について「作品について」欄に何かを書くことについて、二の足を踏んでいた(いつづけている)ということなのですが。
というのは僕はけっこうたくさん入力をやって来ましたが、その度咽から手が出るほど書きたかった「作品について」欄には、全く手をつけていませんでした。
それが何でドーデー「アルルの女」でようやっと開放されたのかというのはのちにゆずるとして、「雨瀟瀟」にも何か「あらすじ」を中心とした、何かを書こうとしたのですが、それがどうにもやり辛くて。
僕は雨瀟瀟は名作だというのはいろんな意味で揺るがないのですが、もう何回も読んだんですけど、時系列が把握出来ない。
一体、二百十日に必ず雨が降って腹を壊したその経験と、彩牋堂主人が妾をクビにしたのと、書いている地点はどういう連関になっているのか。
しかしこの分かり難さ自体が価値であり、それを解きほごすために幾何学的時間という刃で断切ってしまってはいけないと僕のどっかが叫ぶので、わざわざ誘うかの如く調べ易く書いてある日記への参照をつぶさに点検することもしなければ、そういう研究を元にまたそれを転用したいわゆるあらすじも参考にしないで、あくまで本篇をひたすら読んでそれを把握しようとつとめて、それでもわかんなかったら、いいや…… と思っています。
いいやとは言ってもその時系列をボカしてなんとなく「江戸情緒が……」とか「古き時代の流れとの対比が……」どうのとかで茶を濁すのも出来るのは知ってて、それをするのか、いっそこの「作品について」は諦めてしまうのか、悩んではいるので、そこで今止まってしまっているために「入力申請」を出せずにいるので、門田氏との約束は宙に吊られたまま、というわけです。
それで、今回のオフ会は、僕の本職である介護の「ケアスタッフ」において、七夕を朗々と歌い上げるというとても重要な役割があったために、スッポかしたわけですけれども。
本当は行きたかったわけですけれども。


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